山梨県知事に聞いてきた、富士山を「世界レベルの観光エリア」へ、登山規制など課題解決から未来ビジョンまで
富士山エリアを「日本のダボス」に
長崎知事は、将来ビジョンとして富士山エリアを「世界レベルの観光エリア」に形成していくことを掲げている。「富士山を含めて、このエリアを世界中の人たちの交流の場にしていきたい」と話す。 その目標に向けて動き出したのが「富士五湖自然首都圏構想」だ。2022年に「富士五湖自然首都圏フォーラム」を立ち上げ、環境負荷を軽減する交通手段への移行や、芸術溢れるまちづくりなど、5つの分野に関するワーキンググループを設け、具体的な取り組みの検討を始めた。 また、このフォーラムからは、「富士五湖グローバル・ビレッジ」と「富士グリーン水素コミュニティ」の国際コンソーシアムが設立。国際連携や官民連携でさまざまなプロジェクトが動き出している。 そのひとつが、今年4月に開催された国際コンペティション「Fuji-California Young Artists Expo」。100カ国以上の学生たちが参加した。次世代のリーダーや社会起業家の育成を目指す目的で、「人権とジェンダーの平等」や「気候変動と持続可能性」などの社会問題をテーマにしたアート作品を募集し、オンライン上での展覧会のほか各地で巡回展も行った。 「海外の若者と山梨県の若者が共通のアクティビティを通じてさまざまなことを体験して、その先も交流を続けられるような場にしていきたい」と長崎知事。目指すのは「日本のダボス」だ。 一方で、この構想実現に向けては「地元の理解が勝負どころ」との認識も示し、「この構想が地元のビジネスや産業とどのように結びつくか、そのメリットを伝えていく必要がある」と続けた。 このほか、長崎知事は2020年に「富士山登山鉄道構想」を打ち出した。既存道路を活用し、環境への影響が少ない富士山有料道路上にLRT(次世代路面電車)を敷設する案を想定している。 「最終的には、富士五湖エリアやリニア中央新幹線につながれば」と期待は大きい。