OpenAI o1登場、AIを「育てる時代」に 経営者が知っておくべきこと
AIに求める「複雑さ」「深さ」などを選ぶ時代に
デモンストレーションでは、手書きメモのアイディアをイメージ入力した上で「宇宙空間でのデータセンターの放熱面積を推定する」という問題を与え、複雑な熱力学的問題を瞬時に解析。GPUの熱を放出するために極めて大きな冷却パネル面積が必要と導いて問題提起するなど興味深い問題解決を行なっていた。 もちろん出力に対して条件を限定したり、未知の条件に対して異なる仮説を複数立て、どのような条件設定が問題解決に必要かを探る「思考パートナー」のような動作を行う。 現時点では、o1モデルはWebブラウジング機能や参考文書のアップロード、API経由での画像理解やcanvas機能などが提供されていないが、順次追加される見込みだ。 ■AIに求める「複雑さ」「深さ」などを選ぶ時代に OpenAIはo1、て高速モデルのo1-miniに関し、パラメータ数などの詳細を明らかにしていない。しかし前述したように、o1は問題の複雑さによって、解答を得られるまでの探索経路、長さが変化する。従来のパラメータ数による規模の表現は適切ではないだろう。 しかし一般的な傾向として、より優れたAIモデルはより多くの計算能力を必要とする。これはo1でも同じはずだ。ChatGPTに限った話ではないが、従来の料金体系のままより賢いAIモデルを提供しようとするならば、処理の効率や電力コストなどに見合う形で、利用には制限をかければならなくなる。しかし、この制限はなかなか厄介な問題で、制限することでAIサービスの使い勝手や品質に影響を与える。 例えば高速かつインテリジェンスのモデルとして人気のあるClaude 3.5 Sonnetは、筆者お気に入りのAIモデルだが、ある時期から出力トークンの長さに関して大きな制限がかかるようになった。アップロードする資料に関しても、かつては容量による制限だけだったのが、文章の長さに制約がかかるようになった。 これらはAIサービスを提供するために、必要なコストと出力品質のバランスを取るための調整だろうが、出力されるプログラムコードが途中で終了したり、出力する文章が分割されてしまうのでは使い勝手が悪い。 同様の問題はOpenAIのサービスでも見られた。 ChatGPT Proの月額200ドルという価格設定は、最新のo1モデルへの無制限アクセスや先進的な音声モード、そして「o1 Pro Mode」と呼ばれる特別な科学技術演算強化モードを含んでいる。さらにChatGPT Proは今後、より大規模なタスクやより長大な入力に対応し、専門家が保有する膨大な資料を入力した上での推論にも利用可能になる。 AIサービスに対するニーズは多種多様だ。そのすべてに1つのプランで対応するのではなく、より複数のプランでより幅広いユーザに対応するアイディアには、おそらくライバルも追従していくことだろう。