ラグビーコラム リーグワンで採用される試験実施ルール、ラインアウトのノットストレートの判定には一貫性を
【ノーサイドの精神】12月21日に開幕するリーグワンで、試験実施ルールが取り入れられる。 まず、トライしてからコンバージョンキックを蹴るまでの時間の短縮。これまでの90秒以内から60秒以内になった。試合会場に大型映像装置が設置されていれば「ショットクロック」と呼ばれるカウントダウンの数字が映し出される。場内でも分かりやすい。 ラインアウトでも時間制限が設けられた。レフェリーかアシスタントレフェリー(AR)がラインアウトのマークを示してから30秒以内に、ラインアウトを形成しなければならない。「形成」とは、双方のチームが2人以上並んでボールが投入できる状態になることだ。最近は相手にサインを読まれることを避けるため、口で伝えるのではなく、ボール投入側の選手が少し離れたところでたむろしてプレーを決めたら、それを1人の選手がスロワーに耳打ちするという方策をどのチームもとっている。今季のプレシーズンマッチでは、〝たむろ〟する時間が短くなり、ラインアウト形成まで20秒程度、25秒ほどでボール投入という場面が多くみられた。チームもアジャストしているわけで、ファンにとってもありがたいことだろう。 SHの保護を目的に、スクラムでボールを保持していない側のSHはスクラムの中央の線を越えてはならなくなった。これは12人制のジュニアラグビーでは古くから採用されているもの(ジュニアの場合はSHの部分でのつぶし合いをなくし、展開を促進することが目的)だが、15人制でも取り入れられるのは選手のウエルフェアの観点からだろう。また、ラックやモールに参加している選手は、その近くにいてボールを出そうとしている相手選手(SHではなくてもいい)にプレーしてはいけないようになった。密集からパスを投げるときは無防備になることが多く、小柄なSHが大きなFWにつぶされて負傷するようなケースは、少なくなりそうだ。 ラインアウトでもう一つ。相手側がコンテスト(競り合って争奪すること)に参加しなかった場合、投入側のノットストレートが許容されるようになった。 このルールが一番試合に影響を及ぼしそうだ。先日、リーグワンがメディア向けにこれらのルールに関するブリーフィングを開いてくれたが、真っ先に質問が飛んだのも「ノットストレートの許容」がどの程度かということだった。日本協会ハイパフォーマンスレフリーコーチのポール・ホニス氏の説明だと、通常まっすぐ投げ入れたときにリフトされたキャッチャーは、やや内側に手を伸ばしてボールを捕るが、それが頭上まっすぐに手を伸ばしてのキャッチでも許容されるだろうという。ただし、味方ゴールラインの方向に手を伸ばしてのキャッチはノットストレートになるのだそうだ。