「看取りしか選択肢はない」医者から告げられた女性 あの日の笑顔を呼び起こす「ステーキ」
お肉を食べることをあきらめないでほしい。 共鳴した高田さんと鈴木さんは2023年、「歯茎でつぶせるステーキ」の開発に乗り出しました。 精肉店の技術で切れ目を入れ柔らかくした牛肉を、圧力鍋を応用して作られた家電「デリソフター」で調理。 しかし、繊維が多くカットした場所によって、油のバランスも異なる牛肉を柔らかく仕上げることは至難の業で理想とする歯茎でつぶせる硬さのステーキは完成しない日々が続きました。
開発期間1年、この間、試食したステーキは100枚以上。 試行錯誤を繰り返し、ついに歯茎でつぶせる柔らかさのステーキにたどりつきました。 ※【大トロステーキ(約100グラム)3000円 デリソフター調理で歯茎でも噛み切れる柔らかさ】 【ミートショップ ヒロ・鈴木孝悦さん】「今までお肉で表現として、よく舌で溶けるとかいうじゃないですか。このステーキのことですよ。フォークとナイフの時代が終わったかな。プリンみたい」
【言語聴覚士・高田耕平さん】「もともと食レポで牛肉が口の中で溶けるっていう表現って、実際には繊維が残っていたり、無意識に歯でその繊維を切りながら食べていたりするんで、溶けるって言っても、肉汁とか霜降りの部分だったりするんですけど、これはほんまに、ふわぁーってなくなる。片手お箸で切れちゃう」
完成したお肉を真っ先に食べてほしい。 高田さんと鈴木さんは、右半身の麻痺の影響などで、歯が抜け落ち、ステーキを食べることをあきらめていた井尻さんのもとに柔らかいステーキを届けました。 【高田耕平さん】「井尻さん、片手で切れるステーキですよ。噛まんくていける?」 <井尻さんうなずく>
10年前、おいしいお肉を求めて繁華街に繰り出していた2人。 高田さんは井尻さんがステーキをほおばる姿をまた見ることができました。 【高田耕平さん】「この肉、前からあったらね。僕らが好きな阪神が優勝した時、一緒に買って食べていたのにね。祝杯にはちょうど良かったかもしれないですね」
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