「看取りしか選択肢はない」医者から告げられた女性 あの日の笑顔を呼び起こす「ステーキ」
■「看取りしか選択肢はない」医者から告げられた女性
言語聴覚士の高田さんにはもう1人、牛肉を食べてほしい人がいます。 京都市で暮らす仲秀子さん(75)は、脳梗塞や誤嚥性肺炎を繰り返し、5年前、「この先口から食べることはできない。看取りしか選択肢はない」と医師から告げられました。 【夫・良二さん(77)】「妻が最後に倒れた時、退院して、医者から「もうこのまま胃瘻もしないよ」と言われた」
諦めきれない夫の良二さんが高田さんに相談しました。 【夫・良二さん】「妻の命の恩人というか、こうして食べることができるようになったというのは、高田さんなしでは、考えられないでしょうね」
Q.夫婦でおいしいお肉を食べた思い出はありますか? 「そうですね、焼肉屋さんですかね。たまに上等なステーキハウスに行ったこともあります」 高田さんとリハビリを続けたことで、秀子さんが食べられるものは増えていきました。 けれど、大好きだった牛肉は繊維が多く誤嚥の危険性があるため、食べることができません。 【言語聴覚士・高田耕平さん】「あきらめたくないと思っている方に、できるだけたくさんの食べるっていう選択肢をお伝えしたいですね」
■末期ガンの女性への「心残り」介護士だったお肉のプロ
お肉に携わるプロの中にも、医療のプロ、言語聴覚士の高田さんと同じ思いを持った人がいます。 京都で精肉店や焼肉店を展開する「ミートショップ ヒロ」の従業員、鈴木孝悦さん(45)は、2019年に今の会社に転職するまでおよそ10年間、介護士として施設などで働いていました。 そこで出会った末期がんの女性に対して、「心残り」があるといいます。
【鈴木孝悦さん】「末期ガンの入居者さんがいて、お肉が大好きだったんですよ、むちゃくちゃお肉が大好きで」 「どうしてもガンが進行するにつれて、食事が食べられなくなってきて、最終的にはペースト食と呼ばれるものだけ、流動食と呼ばれるものだけを食べていらっしゃったんですけれども、それ自体もどんどん飲み込めなくなってしまいまして」 「上司から『今日生きている方、明日もご存命とは限らないから。今日を全力で介護しなさい、それで後悔しないようにしなさい』って言われていたんですけれども、やっぱり食事っていうのは、介護において、僕の中で全力で出来ていない部分だったと思う」
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