【京都金杯回顧】サクラトゥジュールを得意パターンへ導いたキング騎手 東京新聞杯勝ちの再現でコンビ2戦2勝
高齢でも活力残るネオユニヴァース産駒
中京競馬場で行われた京都金杯は21~23年と変わらず“左回り巧者”がテーマだった。1番人気シャドウフューリー、2番人気ロジリオンなど左回り実績を買われた馬が支持され、勝ったサクラトゥジュールも東京4勝のサウスポーマイラー。昨年の東京新聞杯に続く重賞2勝目をあげた。 【中山金杯・京都金杯2025 最終予想】SPAIA編集部と東大ホースメンクラブ、京都大学競馬研究会の予想を公開(SPAIA) 昨年と同じく短期免許で来日したレイチェル・キング騎手とはその東京新聞杯でもコンビを組み、重賞で2戦2勝。サクラトゥジュールは昨年の関屋記念後に去勢放牧に出ていたように、気難しい。ハミを噛み、前へ行きたがってしまうため、道中で折り合いを欠く場面が多い。だがキング騎手が騎乗すると見事に折り合うから不思議だ。サクラトゥジュールがリズムよく走れるツボを知っていると考えるしかない。 前進気勢の強さは明け8歳とは思えぬ若々しさ。ベテランになっても活力に溢れている。いい意味で枯れてきて、距離を延ばして良さが出るというタイプでは決してないから不思議だ。 父ネオユニヴァースの産駒はJRAにはもう8頭しかいないが、ロジユニヴァース、ヴィクトワールピサ、アンライバルドなどクラシック級を出しながら、デスペラード、ゴールスキー、ネオリアリズムなど6歳以上で活躍する息の長い産駒も多い。ベテランになっても衰えない活力の強さは若い頃、気難しさとなって現れて出世を妨げることもあるが、その分、年齢を重ねても残量を確保し、勝負できる力となる。 サクラトゥジュールはまさにその典型。気難しささえ制御できれば“やれる”と踏むや、去勢という一手を打って復活に導く堀宣行調教師の判断も重賞2勝目の要因だろう。
後半ペースアップできず、先行勢は苦戦
サクラトゥジュールの競馬ぶりはまるで24年東京新聞杯の再現。枠に関係なく、内をとり、そこから一切、動かずに直線へ。折り合い難だけに最後まで前に壁を置いて、リズムを整えたのも末脚に影響した。とはいえ、直線では手ごたえある先行型がいて、進路取りは簡単ではない中、シュバルツカイザーとシャドウフューリーの間をこじ開けてきた。 狭いところへ突っ込むキング騎手の胆力と競馬をよく知るサクラトゥジュールの勝負勘が冴えた。勝負にいった一瞬の判断がなければ勝てなかっただろう。内を回るリスクを勇気で回避し、最短距離を走れる恩恵を得る。実に計算し尽くされた競馬だった。サクラトゥジュールの得意パターンはキング騎手が二度も証明した。この形ならまだ白星の上積みが見込めそうだ。 レースはセオが枠を生かして飛び出し、セルバーグが少し逡巡しながらハナを奪い返した。序盤600m34.7、前半800m46.2は平均より少し速いぐらい。息の入れにくい流れになったため、後半は11.9-11.9-11.6-11.9、47.3と思ったよりペースアップできなかった。 当然、先行勢は伸びあぐね、直線残り200mではどの馬も余力なく、抜け出す馬が見えてこなかった。それをサクラトゥジュールが抜け、大外からはウォーターリヒトが伸びた。前半の流れに付き合わず、じっくり脚を溜めたことが好走要因だろう。 展開が味方した面もあり、もう少し遅い流れになり、好位勢に脚を残されると、結果に結びつかない。次走以降、ここはポイントだろう。加えて、サクラトゥジュールが折り合い面の難しさを出さないとは限らない。