【府中牝馬S回顧】毎日王冠をしのぐハイレベルな一戦 ブレイディヴェーグは牝馬同士では一枚上
牝馬戦線の距離事情
アイルランドトロフィー府中牝馬Sという名称は今年が最後。来年からはアイルランドトロフィーがレース名となり、府中牝馬SはGⅢのハンデ戦として6月に移り、マーメイドSを継承する。 【秋華賞2024 推奨馬】全28回で勝66.7%で複88.9%の強データを持つ! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 春のヴィクトリアマイルが終わると、牝馬戦線は秋のエリザベス女王杯へ向け、中距離戦にシフトしていく。マーメイドSが荒れるのは、マイルからシフトしきれない実績馬が負けるのも要因だ。 さらにクイーンSと本レースもそんなシフトチェンジの途上にある。ましてこちらの舞台は東京芝1800m。コーナーが少なく、スピードが求められる舞台はどちらかというと、マイル向きの馬に優位な舞台設定となる。 しかし、春のGⅠ以来の休み明けはこの10年で未勝利。特に前走ヴィクトリアマイルは【0-0-3-13】と冴えない。牝馬の約5カ月ぶりは調整が難しいのが主たる要因かもしれないが、シフトチェンジが上手くいかないのも根底にある。 マーメイドSほどではないがこのレースも波乱傾向にあり、中距離へのシフト、距離変化への対応は歴戦古馬であっても案外難しい。
毎日王冠をしのぐレース内容
今年は非常にマイルに近い持続力勝負になり、緩急をつけずに走り、さらに最後まで加速していくというハイレベルな一戦だった。今年が最後のアイルランドトロフィー府中牝馬Sへの別れにふさわしい印象的な競馬ではなかったか。ここからは同舞台の開幕週に行われた今年の毎日王冠と比較する。 序盤600mは毎日王冠が35.3、府中牝馬Sが35.1、前半1000m通過は59.4に対し、58.7。後半800m45.7と46.0、ラスト600m33.7、34.1。前半は0.7秒速く、最後は0.4秒遅いだけ。 12秒台が入った毎日王冠に対し、本レースはそれがなく、12.7-10.9-11.5-11.8-11.8-11.9-11.7-11.4-11.0とまるで緩みがない。毎日王冠のラスト600mは11.3-11.0-11.4でラスト1Fは減速。それに比べ本レースはゴールまで加速し、ラスト1Fで11.0を記録。明らかに毎日王冠よりレベルが高かった。 毎日王冠は前が残ったが、本レースは加速ラップで先行勢はみんな直線で止まった。坂を上がってからのラスト11.0を演出したのは抜け出してきたブレイディヴェーグとマスクトディーヴァ。通ったコースの差が着順に出た。