神宮外苑再開発問題、日比谷公園…木を伐っても伐っても「東京に緑が増えている」発言への違和感
大手デベロッパーの再開発により東京の各所で進む「樹木伐採」
神宮外苑や日比谷公園、葛西臨海水族園、渋谷区の玉川上水緑道、千代田区の街路樹などなど、東京の各地で樹木伐採が急ピッチに進められている。 【現場写真】これはひどい...! 日比谷公園の名所・240 本のバラが跡形もなく… こうした樹木伐採の話題になると、必ず以下のような反論が出てくる。 《でも、東京は緑が増えているんですよ》 こうした根拠の1つに、小池百合子都知事が『東京グリーンビズ』として掲げ、何度も繰り返している以下のような説明があるだろう。 「100年先を見据えた、緑と生きる街づくりを進める」「自然と調和した都市を実現する」「近年は用地を巧みに創出し、自然との調和を図ることで、開発が進む都心部の緑はむしろ増加している」(’23年9月19日 東京都議会第3回定例会の所信表明) はたしてこれは本当だろうか。 この「東京は緑が増えている」の嘘を指摘するのは、千葉大学名誉教授で元日本庭園学会会長の藤井英二郎氏だ。 「東京に緑が増えているというのは、高層ビルを建てた時の公開空地(通常、建物に覆われていない、歩行者が日常自由に通行または利用できる土地)の関係ですよね。 公開空地は一定面積確保すれば容積率が緩和されるという、 建物を建てる側からすれば非常にありがたいものなんです。実態としてそれだけ東京都内で高層ビルが増えているということだと思います」(藤井英二郎氏・以下同) 公開空地の根拠は、「建築基準法第59条の2(敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例)」に基づく「総合設計制度」だ。これは、敷地内に公開空地を設けることなどで「市街地の環境の整備改善に資する」と認められる場合、容積率や各種の高さ制限を緩和する規定である。 公開空地を設けることで可能になる容積率の割り増しは、基準の1.5倍かつ200%増以内。さらに、「市街地住宅総合設計制度」「都心居住型総合設計制度」「敷地規模型総合設計制度」などが次々に作られたことで、それらの合わせ技で最大「基準容積率の2.0倍かつ400%増以内」まで認められるようになっている。 さらに’14年12月にできた「改正マンション建替え法」でも、容積率制限の緩和が取り入れられている。つまり、これらは皆、都心エリアに高層ビルやタワーマンションを建てることを可能にする便利な制度というわけだ。 「公開空地には、建設後の緑地を管理する基準や評価がないので、建てたら放置でも良いような実態になっている。高層ビルを建てれば建てるだけ得で、それを売却したり、資産運用できたりするわけです」