受験のプロから小学生と保護者へアドバイス 東海地方の中学入試、公立中高一貫校の影響は?
「公立王国」でも中学受験は増加傾向
――「公立王国」と言われる東海地方ですが、中学受験者数は増えているとか。 小学生全体は減少していますが、中学受験の延べ人数は増加傾向で、過去最高を更新する年もあります。その背景には「大学入試改革」と「コロナ禍」の二つがあったと考えています。 大学入試センター試験が大学入学共通テストに変わるなど、大学入試で求められる力が変わりつつあります。その中で6年間通して学べる環境が評価されています。中学入試の問題も、大学入試の流れを意識したものになっていて、経験しておく意味はあると思います。 また、新型コロナウイルスの感染が広がった際、私学は各校が独自に対応できました。設備の更新や新しいカリキュラムなど、動きが早いことも好感を持たれていると思います。 昔なら、私学は「医師や弁護士の家庭」「公立の滑り止め」というようなイメージでした。いまは親の世代が大学を含め私学で学んだ人が多く、一般の家庭も私学を考えるようになってきました。特に名古屋市でそのような動きがはっきりみられます。
焦った時は「考え方を変えてみて」
――受験を控えた子どもや保護者にどのようにアドバイスしていますか。 まず出願ですが、スマートフォンで手軽にできるようになった一方で、「ちゃんと出願できただろうか」と不安を感じることがあります。スクリーンショットをしておくなど、データを保管しておくことをお勧めします。 また、出願の際に疑問があったり、間違いがあった時は、遠慮せず学校に相談してください。出願期間内でしたら、決してマイナス評価などをすることなく対応してくれます。 そして日程は余裕をもって、「合格」を重ねていけるようにしましょう。 子どもにとっては、模試のA判定よりも1校の合格の方がはるかに大きなパワーになります。自信がつけば子どもは1週間でも伸びて、逆転合格も十分ありえます。 あとは家族を含めた体調管理です。勉強も大事ですが、睡眠をちゃんと確保してください。 感染症だけでなく、ケガにも気をつけましょう。「学校の体育でケガをするのが心配」という声も聞きますが、運動はストレス解消になります。逆に手を抜くことでケガにつながることもありますので、体育はしっかりやりましょう。 ――受験日が近づくと、本人だけでなく保護者も焦りますね。 保護者自身が受験するのではないだけに、「思うように子どもがやってくれない」と余計に焦るんです。 その不安やイライラを相談できる人を見つけましょう。ご家族など身近な方であることが理想ですが、塾の先生でもいいでしょう。 残り日数に追い込まれるような感覚になることはよくわかりますが、考え方を変えてみてはどうでしょう。 入試の日を「子どもの夢がかなう日」だと思うんです。これまで我慢していたことがなくなる、待ち望んだ日。その日にどんなごちそうを食べようか、子どもと相談してもいいですね。 結果は「ご縁」です。万が一だった場合の選択肢も確保し、「やりきった」と納得できるスケジュールを組みましょう。 (メ~テレ 山吉健太郎)