人工呼吸器外れ中学生死亡「アラーム6回放置」 遺族側、島田市立総合医療センター看護師ら刑事告訴へ
島田市立総合医療センターに入院していた男子中学生=当時(15)=が3月下旬、人工呼吸器と気管チューブの接続が外れたことによる呼吸停止で死亡していたことが18日、分かった。遺族代理人が同日、静岡市内で記者会見を開いて明らかにした。ナースステーションでは異常を知らせるアラームが放置されていたとして、代理人は「業務上過失致死事件として立件されるのが相応」と看護師ら5人を刑事告訴する方針。損害賠償請求訴訟も検討している。 中学生は2022年9月中旬、発熱や吐き気などの症状で同センターに救急搬送され、脳膿瘍(のうよう)と診断され入院していた。代理人は中学生が死亡した後の今年6月に行われた遺族に対する病院側の説明の場に同席した。 代理人によると、病院側はチューブが外れた原因として(1)接続が緩かった(2)気管切開部周囲の痰(たん)などの拭き取りが不十分だった(3)何らかの重力がかかった―の3点が考えられると説明した。ナースステーションではアラームの鳴動が常態化し、看護師の対応がまひしていた。病院側は責任を認めて謝罪したが、事実の公表については「検討する」とだけ述べたという。 男子中学生は当時、意識障害が長引いている状態で自発呼吸ができず、代理人は「接続や拭き取り作業は慎重かつ確実に行うべきだった」と指摘。アラームは6回鳴ったのに漫然と放置したとして、看護師らの注意義務違反を強調した。中学生が意識障害に陥ったのは必要な緊急手術を速やかに行わなかったためとして、診断当初の対応にもミスがあったと主張する。 遺族は代理人を通じ、「息子はまだまだ続くはずだったこれからの人生を絶たれた。病院側には責任をわきまえた誠意ある対応をしていただきたい」とコメントした。 同センターは取材に「特定の患者に関することでプライバシーの問題もあり、コメントは差し控える」とした。
静岡新聞社