受験のプロから小学生と保護者へアドバイス 東海地方の中学入試、公立中高一貫校の影響は?
東海地方で2025年度の中学入試シーズンがやってきます。今シーズンは、愛知県で初となる公立中高一貫校(明和、半田、刈谷、津島)の入学者選抜もあります。どのような影響があるのか、中学受験をする子どもや保護者に気を付けてほしいことは…。日能研東海(名古屋市東区)の学校情報担当・藤原康弘さん(46)に聞きました。 ――今シーズンの中学入試の日程に変化はあるのでしょうか。 愛知県全体で、公立中高一貫校の影響がみられます。 愛知県では、成人の日を含む3連休から2月第1週までの週末に私立中学の入試日が設定されていました。小学校を休むことなく受験できるようにという配慮で、平日にも入試がある首都圏や関西圏ではみられない特徴です。 愛知県の公立中高一貫校の入試日は、3連休初日の1月11日に1次選抜、翌週末の1月18日に2次選抜となりました。これに重ならないように、入試を前倒しした中学校があります。 名古屋の女子校の愛知淑徳中学と椙山女学園中学は、これまで入試日が同じで、どちらか1校しか受けられませんでしたが、今回は入試日がずれて2校とも受けられるようになりました。受験者が増えることが予想されます。
公立中高一貫を意識した私立中学入試も
――愛知の私立中はやはり公立中高一貫校を意識している? 大成中学(愛知県一宮市)は今回初めて、1月6日に「適性検査型入試」を実施します。公立中高一貫校の入学者選抜と同じスタイルです。私たちは「前受け」と言っていますが、本命校の試験に慣れるためや腕試しとして受けてもらうことを意識していると思います。成績優秀者には入学金と授業料6年間免除という特待生制度もあり、公立中高一貫校の志望者がどれくらい受験するのか、注目しています。 一方、公立中高一貫校の2次選抜と同じ1月18日が入試日の私立中もあります。出願の締切日は1次選抜の結果が出る前が多いので、出願数はそんなに減ることはないと思いますが、私学側は「受験者が多少減ることは仕方ない」と考えているかも知れません。 ――公立中高一貫校にはどのくらいの人数が受検すると思いますか。 埼玉県では、さいたま市立浦和が中高一貫になった初年度の倍率が20倍を超えました。愛知の公立中高一貫校は普通コースの定員が80人と決まっていて、相当高い倍率になることが予想されます。 中学受験をする家庭は圧倒的に名古屋市に多く、明和の受検を一度は考えるはずです。さらに明和は交通アクセスもいいので、尾張地方一円から通うことができます。 三河地方はもともと高校入試に熱心な土地柄ですが、刈谷には豊田市などからも受検する子がいるのではないでしょうか。 私立中学は歩留まりを考えて定員よりも多めに合格を出しますが、公立でしたら80人にしか合格を出さず、辞退があれば繰り上げるという方法を取ると思われます。