受験のプロから小学生と保護者へアドバイス 東海地方の中学入試、公立中高一貫校の影響は?
公立中高一貫、高い倍率と厳しい競争か
――厳しい競争になりそうですね。 公立中高一貫は、2次に進める人数は定員の2倍程度としています。もし1000人が受けたとしたら、8~9割が1次で不合格となります。 1次選抜はマークシート方式なので、ひとまず答案を埋めることができます。「受かるかも」と思う子どもは少なくないでしょう。期待が膨らむほど不合格の場合のショックは大きく、保護者が想像する以上に傷ついてしまうかもしれません。 公立中高一貫が不合格となり、地元の公立中学に進むことになったとしても、私立で少なくとも1校は合格して、「自分で選択したんだ」と納得できるようにすることをお薦めしたいと思います。 ――塾に通っている保護者は公立中高一貫校をどう受け止めていますか。 日能研は私学を軸に考えている方が中心なので、公立中高一貫校には慎重というか、落ち着いている印象です。 その理由には、先がはっきり見えない中で子どもを6年間預けられるかということがあると思います。 例えば入学後の部活や運動会はどうなるのか。1学年の80人だけでは限界があり、かといって高校生と一緒にするにはハードルが高い。また、高校から入学してくる人と混合のクラスになるのか、別のクラスになるのか、はっきりしていない学校もあります。中高一貫は学年にとらわれない学びができることがメリットですが、高校から入る人に合わせるとなるとメリットが減ってしまいます。 小学校低学年の子どもがいる家庭は、これから数年かけて見極めていくのだろうと思います。 こうしたことから、今シーズンの私立中学の入試が易しくなったり、入りやすくなったりすることはほとんどないと考えています。
公立中高一貫校の難易度「測りきれていない」
――公立中高一貫校の適性検査は、サンプル問題が公表されています。 しっかりと思考したうえで順番を組み合わせるものや、問題文や表、グラフからわかることを計算を用いて確認する必要があるなど、単なる知識だけでは正解しづらい、非常に練られた出題例でした。 マークシート方式なので部分点が入ることがなく、ちょっとした読み違えなどで失点が増えてしまうことが予想されます。 ただ、出題数や1問ごとの配点などがはっきりと公表されておらず、全体の難易度は測りきれていないというのが正直なところです。 過去問がないという点でイーブンな条件とも言えますが、準備がしづらいので大変だと思います。