想定を上回る「奨学ナプキン」への需要 「生理用品が高い」「親が買ってくれない」学生へのメーカーの試み、応募が殺到
「生理でもプールに入れという先生がいる」「生理による体調不良は甘えだ、ズル休みだといった考えをやめてほしい」「生理の症状には個人差があることを知ってほしい」…学生からのリアルな声。教育現場であったとしても、男女差、また同性でも個人差があるため理解されていない現状が浮き彫りになる生理。 【調査結果を見る】なぜ、生理用品を買うのが難しい? さらに、「生理の貧困」という言葉にもあるように、学生への調査(※1)で、「生理用品の購入に苦労した理由を教えてください」という質問に対し、2022年度(N=9185)は69.3%、2023年度(N=4931)は75%の人が「値段が高いから」と答えており、続く回答でも「お小遣いなど自分が使えるお金が少ないから」「親・保護者が買ってくれないから」といった金銭的な理由が挙がっています。値上がりや増税の影響も無関係とはいえず、深刻な実態や課題が多いことが伝わってきます。 そんななかで、注目を集めているのが「奨学ナプキン」です。 SNS上では「私の時代にも欲しかった」「いろいろ値上がりしていて助かる」という声とともに、現物での支給に対して、「これはいいアイデア。お金だと本当にナプキンに使われるかがわからない」という意見もありました。 大王製紙株式会社(東京都千代田区)が手がける生理用品ブランド「エリス」が、1年間生理用ナプキンを無償で提供するプロジェクト「奨学ナプキン」は、2022年に開始。スタート時は1000人対象でしたが、あまりの反響の大きさに1年目から対象を2000人に倍増。このプロジェクトの背景を取材しました。
「枚数を気にせず使えるように」「金銭的に助かった」
冒頭の学生の声は、「奨学ナプキン」に応募する際のアンケートから。生理に対する悩みや生理用品についてのアンケートに答えて応募でき、選考の上「奨学生」を決定し、選ばれると年3回に分けて1年分の「エリス」が届けられます。現在、20を超える企業・団体から賛同の声をいただいているとのこと。 1年間奨学ナプキンを受け取った奨学生たちからの感想も集まり、最終アンケート結果(※2)からは、 「生理期間中も少し前向きになれるようになった」 「枚数を気にせず使えるようになったので部活や勉強に集中できた」 「ナプキンの交換回数が増えてかぶれることが減った」 「コストを気にせず夜用のナプキンを使えるようになって生理中も熟睡できるようになった」 「物価高騰で生活が苦しい中金銭的に助かった」 といった喜びの声が。98.1%の方が奨学ナプキンをまわりの人に勧めたいと答えたそうです。 必要十分数な生理用品を買えなかったり、ストックできる量が手元に無いとなると、必然的に同じナプキンを長時間利用したり、使い惜しみ、あえて交換しないことに。 そういった状況が肌トラブルを引き起こしていることや、日常生活にも支障をきたしていることがアンケート結果からもうかがえます。奨学生になったことで生理にまつわる心配や不安が解消され、生活の質が向上しているようにも感じました。