2024年食品ヒット大賞は「キリンビール 晴れ風」 若年層掴み、定番ビールで異例の売れ行き示す
2024年、食品業界では段階的な酒税率改正により、発泡酒や新ジャンルとの価格差が縮小し、ビール市場が再び注目される「ビール回帰の年」となった。「キリンビール 晴れ風」はビール離れが指摘される若年層のエシカル消費(倫理的消費)の意識も刺激し、キリンビールの17年ぶりのスタンダードビールの新ブランドとして成功した。 「キリンビール 晴れ風」はビール愛好者以外の幅広い層をもターゲットに設定し、「ビールとしてのうまみや飲み応え」と「飲みやすさ」を両立したバランスの良い味わいを実現。また「キリンビール 晴れ風」を購入することで、ビールに欠かせない日本の風物詩の保全・継承として桜の保全費や花火大会の運営資金が各自治体へ自動的に寄付される仕組み「晴れ風ACTION」を構築した。 「キリンビール 晴れ風」は日本食糧新聞社が制定する令和6年度「第43回食品ヒット大賞」の食品ヒット大賞を受賞。同賞の選考委員長を務める早稲田大学名誉教授の亀井昭宏氏は「厳しい経済環境や消費生活の変化、激化する市場競争の中で、キリンビールの奮闘と創意工夫」が高く評価されたと分析する。 食品ヒット大賞では「優秀ヒット賞」22品も選出。テレワーク体制の見直しによる「出社回帰」の普及で時間に追われる人が増加したことから、フライパン一つでできる「ワンパン」商品や、お湯を注ぐだけで手軽に楽しめるお茶漬け、お湯や水・牛乳などにひと混ぜするだけの液体濃縮スープなど「時短」ニーズに応える商品が選ばれた。 「健康面」では、酸化対策で鮮度を保つ「サビないオイル」やカロリーを抑えながらもおいしさを損なわないドレッシングなど、商品力を強化したヘルシー志向の商品が支持された。「楽しみの面」では、缶の蓋を開けると炭酸の泡とともにレモンが浮かび上がる新感覚サワーや、もちっとした食感を楽しめる乾燥パスタ、白子のような滑らかな豆腐など、物価高の中でも健康的で楽しい食生活を追求した商品が選出された。その他ロングセラー賞4品、昭和100年記念ロングセラー特別賞1品が受賞。「第43回食品ヒット大賞」の贈呈式・祝賀会は25年2月20日、ホテルニューオータニ東京で行われる。
日本食糧新聞社