急転、世界選手権ロシア代表入りのメドベージェワは初V狙う紀平梨花の脅威となるのか?
五輪金メダリストのザギトワも今季世界最高得点の238.43点(ネーベルホルン杯)を持っている。ロシアは最強3人を揃えたことになるが、ただザギトワには死角がある。 中庭氏もザギトワについては厳しい見方をしている。 「欧州選手権を見る限りでは、まだ不安定な状態です。動きに鋭さが無く、結果としてジャンプの回転不足が顕著です。ミスの少ない女子では、基礎点、出来映え点の両方が下がるため、これは致命的です。劇的に改善されないと厳しいかもしれません」 今季のザギトワは、GPシリーズも連勝して3連勝でGPファイナルに挑んだが、紀平に敗れた。平昌五輪後のルール改正で1.1倍となる後半にジャンプを集める高得点捻出プログラムが使えなくなり、身長が数センチ伸びるなど、成長期にある肉体と、ジャンプ技術のバランスに欠け大会を消化すればするほど苦しんでいる。 中庭氏は、ロシア勢3人の力量を分析した上で、紀平の優勝の可能性をこう予想する。 「ショート、フリーでミスがなければ優勝の可能性が高まります。『自分の演技ができたら勝てる』というレベルにあるのです。平昌五輪時のザギトワ、メドベージェワの域です。またトリプルアクセルだけでなく、他のジャンプ、スピン、ステップ、表現力のすべてが成長して自信も生まれています。問題は注目度の高い自国開催ゆえのプレッシャーだけでしょう」 採点競技であるフィギュアスケートの勝ち負けは相対的なものだが、紀平の場合、「跳ぶ」と公言しているショート1本、フリー2本の計3本のトリプルアクセルに成功すれば優勝をつかむことができる絶対的な強さがある。優勝したGPファイナルで出した233.12点は今季の世界最高得点ランキングで2位の得点。メドべージェワを加えて、最強布陣を組んできたロシアも紀平がベストの演技を見せれば敵ではない。初出場となる紀平が2014年の浅田真央以来となる世界の頂点に立つ瞬間が迫っている。