鹿児島県・奄美大島 アカウミガメ産卵過去最低レベル、東シナ海混獲原因か
奄美海洋生物研究会(興克樹会長)はこのほど、「2024年奄美大島におけるウミガメ上陸・産卵」(2~9月)と、「リュウキュウイノシシによるウミガメ卵採食状況」(同)の調査結果(いずれも速報値)を発表した。アカウミガメの産卵は、13年の663回をピークに急激に減少しており、今期の産卵数は47回だった。東シナ海における定置網などによる混獲や餌資源の減少が原因と考えられている。 調査は、同研究会、環境省、奄美大島5市町村、NPO法人TAMASU(大和村)などの調査データを集計したもの。 24年のウミガメ上陸は521回(アカウミガメ81回、アオウミガメ370回、種不明70回)、産卵は289回(47回、206回、36回)だった。産卵回数は、昨年の260回に次いで過去13年間で2番目に低かった。
種別にみると、熱帯から亜熱帯の海を広く遊泳するアカウミガメの産卵回数の減少が著しい。13年に663回を記録して以降減少傾向は止まらず、10分の1以下に落ち込んだ。 全国的には、人工構造物による影響による砂浜の減少が続いていることと、定置網に掛かり呼吸ができず死んでしまう個体の増加が原因の一つと考えられている。 一方、水深の浅い沿岸域に生息するアオウミガメの産卵数は昨年比131・2%と増加。過去13年について同研究会は「ほぼ同水準で安定的に推移している」と評価し、16年以降のアカウミガメの産卵減少に伴い「アオウミガメが産卵優占種となっている」と分析している。 リュウキュウイノシシのウミガメ卵・幼体の捕食は、24年67巣(前年40巣)と増加。請島西岸や与路島西岸での捕食が目立つ。同研究会では、「採食の恒常化した浜においては、産卵個体数の減少が懸念される」としている。