「〇〇と言えば?」“真っ先に思い浮かぶ企業”になるマーケティング戦略とは?
マーケターの努力で、売上を上げることができる変数のうち、最も注力すべきなのは、想起率と配荷率だ。日本の人口を増やすことはできないし、1個しか買わない人に2個買わせるのもコントロールが難しい。顧客が購買行動を起こす前に、どれだけ想起させられるかが、マーケティングの最大の目的になっていく。
売り場の配荷率も重要だ。顧客が「買いたい」と思っても、近くの店ですぐ買えるなり、ECサイトで注文できなければ、商機は逃げていく。ただ、広告・PR・SNSなどを担当するマーケターは、職責的に売り場展開に携われない方が多いだろう。となれば、想起の最大化に取り組むことが仕事の意義となるだろう。
「想起集合」は「●●と言えば?」で思い浮かぶ3つ
想起にはいくつか段階がある。それを示したのが次の図だ。たとえば、あなたが連休を使って、近場の温泉に行こうと考えたとする。その時、どの温泉地が頭に思い浮かぶだろうか? 思い浮かんだ温泉地の候補が、以下の図の「想起集合」にあたる。
まさにトーナメント戦のような図だが、右上に行くほど購入確率は高くなる。はじめの段階は「知名段階」で、知っているか・知らないかだ。知らない商品は買わないので、知られていることが重要だ。次の段階は「処理段階」だが、これは商品の特徴をある程度理解しているかだ。次が一番重要な「考慮段階」で、「想起集合」は「●●と言えば?」と言われたときに思い浮かぶ3つだ。その中でも、1番に想起されるのが「第一想起」だ。 トライバルメディアハウスの調査によると、一部の例外を除き、第一想起ブランドがトップシェアブランドだという。この「想起集合」に入らないと、ほとんど勝負にならないということだ。なお、「保留集合」は4位以下で、「拒否集合」は商品やブランドを理解した上で、買いたくないと思われているものだ。 ┌────────── 『第一想起になったから売れた』のではなく、『トップシェアだから第一想起になった』と考える人もいるだろう。鶏と卵の問題だが、結論を言うと、両方とも当てはまる。 『ダブルジョパティの法則』と言い、南オーストラリア大学のマーケティング サイエンス教授、バイロン・シャープ氏によって提唱されたものです。トップシェアの商品は購入者がそもそも多いのだから、リピート購入も増えます(池田氏) └──────────