7&iHD社長、グループ売上高30兆円以上へ-30年度へ目標示す
(ブルームバーグ): カナダの同業他社から買収提案を受けているセブン&アイ・ホールディングス(HD)は24日、投資家向けの説明会「IRデー」を開き、2030年度にグループの売上高を23年度の2倍近い30兆円以上に伸ばす目標を明らかにした。井阪隆一社長は「今後も大きなグローバル成長の可能性を秘めている」と述べ、強みとする食品の質を国内外で高めることなどで成長を実現する方針を示した。
7&iHDの発表資料によると、主力の北米コンビニ事業でオリジナル商品の強化や配送サービスの推進などの取り組みを進め、30年度に海外コンビニ事業のEBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)59億ドル(約9000億円)、投下資本利益率(ROIC)10%を目指す。
北米事業統括のジョセフ・マイケル・デピント氏は「M&Aを続けるにあたってモニタリングや優先順位付けを行い、市場の潜在的なアセットを見出してきた。今後もこうしたことを行ってポートフォリオを補完したい」と述べた。
発表を受けて同日の東京市場での取引で7&iHD株は反発、一時前日比2.9%高の2265.5円を付けた。
同社はカナダのアリマンタシォン・クシュタールからの買収提案に反対しており、自社で企業価値を高める方が投資家の利益につながるとアピールしてきた。ただ、足下では稼ぎ頭である米国と国内のコンビニ事業が振るわず、10日には今期(25年2月期)の営業利益見通しを従来計画から26%少ない4030億円に下方修正したばかりで業績を着実に改善していく必要がある。
企業価値を高める戦略として、祖業であるイトーヨーカ堂を含むスーパー事業など31社を傘下に収める中間持ち株会社を設置。自立的な成長を促すため、外部資本の注入を検討している。長くアクティビスト(物言う株主)からコンビニ事業への集中を求められてきたが、井阪氏は「食の共同開発における連携は維持しなければならない」として、資本関係を維持する意向を示した。