「べらぼう」小芝風花、花魁役に挑む中で「高下駄の練習をしていたら人が来て…」
1月5日から放送が始まる大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。今作は、日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築いた蔦屋重三郎の波瀾(はらん)万丈の生涯を描く、笑いと涙と謎に満ちた“痛快”エンターテインメントドラマだ。 横浜流星が演じる“蔦重”こと蔦屋重三郎は、幼くして両親と生き別れ、吉原の引手茶屋(遊郭の案内所のようなところ)の養子となる。吉原の、血のつながりを超えた人のつながりの中で育った蔦重は、とある思いから書籍の編集・出版業を始め、後に“江戸の出版王”へと成り上がっていく…。 これまで渡辺謙(田沼意次役)さん、安田顕(平賀源内役)さんへのインタビューを連日公開してきたが、今回登場するのは蔦重のなじみの花魁・花の井(後の五代目瀬川)を演じる小芝風花さん。花の井の魅力や大河ドラマへの思いなどを語ってもらった。
――花の井の第一印象と、実際演じられて気付いた魅力を教えてください。 「最初は、蔦重と男の子の兄弟のように育ってきたのかなという印象がありました。吉原という厳しい環境で、絶対報われることがないと理解した上で、ひそかに蔦重に思いを寄せているのですが、結ばれないと分かっていながらも、『蔦重が困っていることがあったら力を貸したい』と支える強さを感じました」 ――演じる中で花の井の印象が変わった部分はありますか? 「初日の撮影で思ったよりも強く蔦重に詰め寄るシーンがあって、気が強いなと思いました(笑)。花魁は、すごく華やかで色っぽいイメージだったのですが、この作品ではオフの状態の姿がよく描かれていて。なので、ギャップといいますか、カラッとしている女性なんだなと思いました」
――森下佳子さんの脚本を読んだ時の感想も教えてください。 「面白かったです。ただ、私は花の井の目線で脚本を読むので、痛いほど気持ちが伝わってきて…。吉原は、男性にとっては華やかで夢のある世界だけど、そこで生きる身としては苦しいことがたくさんある中で、お客さんに接したり、本当の思いを隠しながら生きていて、読んでいるだけで涙が出てきたんです。花の井が女性として1人の男性を思っている恋心だったり、それがかなわない苦しみだったりを丁寧に描いてくださっていたので、花の井のことがすごく好きになりました」 ――今回、大河ドラマの出演が初めてということで、撮影に入ってみての感想を教えてください。 「スタジオに入った時に吉原の街並みが全部できていて。2階建てのセットで、上からも人がのぞけるようになっていて、本当にタイムスリップしたかのようでした。セットの先がLEDの映像なのですが、奥行きまで全部作られていて。映像がカメラの動きに合わせてちょっとずつ動いたり、すごい技術だなと感動しました。お芝居の中で『ここを見せないようにしなきゃ』と考える必要もないので、役に入りやすく、ありがたい環境です」 ――ご自身のどういうところが今回のオファーの決め手になったと思いますか? 「え! 私も知りたいです(笑)。自分では全然分からなくて。というのも、花魁はすごく色気がある、大人っぽいイメージなのですが、私は年齢より幼く見られることもあり、笑顔や元気なイメージを持ってくださっている方が多いかなと思うんです。なので、当初は雰囲気を出せるのかが分からず、そこが自分の中での課題でした。ただ、今回そんな課題にチャレンジできる役をいただけたので頑張らなきゃ、という気合はすごくあります」 ――実際に花魁を演じるにあたって、意識的にやっていることはありますか? 「オフの状態のリアルな女郎(花魁の下位)たちの日常を撮りたい、と監督からお話しをいただいて。時代劇は今までも出させていただいたことがあり、お着物を着たら姿勢を正しくして…というイメージだったのですが、女郎は昼見世も夜見世もあり、万年寝不足の状態で男性を相手にいろんな座敷を回っている中で、オフの時は姿勢が崩れているのですが、その崩すということが、私にはすごく難しくて。家の鏡の前で自分の浴衣を着て、どういう崩し方をしたらいいのかなというのを研究しました」