「べらぼう」小芝風花、花魁役に挑む中で「高下駄の練習をしていたら人が来て…」
――横浜さんとの共演は、2017年公開の映画「天使のいる図書館」以来、久しぶりですよね。息を合わせるために何かやってらっしゃることはありますか? 「ちょっとした役柄のニュアンスや感情の確認を、監督を交えてするようにはしています。蔦重は『女郎に手を出してはいけない』と厳しく教えられていて、花の井も足抜けしようとして失敗し厳しい折檻(せっかん)を受けている人を見ているからこそ、『台本上はこう表現されているけど、心の底ではこう思っているんじゃないか』というような意見の交換などを、シーンに対して1個ずつ丁寧に話し合っています」 ――小芝さんから見た蔦重の魅力はどんなところですか? 「自分が思ったことに対して、ばかだなと思うぐらい真っすぐなところです。そこに全くよこしまなものがなく、ただ単純にいいものを作りたい、面白いものを作りたい、吉原を良くしたいというストレートな思いを持っているところが母性をくすぐるといいますか。花の井としても放っておけないし、支えたいと思うところなんだろうなと思います ――女郎の人生を生きる上で、心がけていることや考えたことを教えてください。 「第1回で、小さい頃に面倒を見てくれていた朝顔姉さん(愛希れいか)が体を壊しているシーンがあって。初めからショッキングなんですけど、これがリアルだったんだろうなと思うんです。忘八(女郎屋の主人)たちからすると、お金が稼げない女郎は捨てようとなるわけで…。いろんな別れや苦しいこともいっぱいあるけれど、悲観しているだけでは駄目で、花の井はいろんなことをのみ込み、それでも吉原で生きていかなきゃいけないと分かっている人だと思うんです。でも、蔦重といる時だけはそういうことを忘れて、きっと楽しく素で会話できるんだろうなと。シーンによって違うのですが、“蔦重がいてくれるから頑張れる”という関係性を大事にすることを心がけています」 ――蔦重は貸本屋として女郎たちに本を貸していますが、きっと、女郎たちも本を読んでいるときは素に戻っているんでしょうね。 「女郎は外の世界を知らないから、知ることができないから、唯一本を読んでいる時間が外の世界に出られる時間な気がしていて。だからあんなに本が好きなのかなって思います。花の井も本当にいちずで真っすぐで、蔦重がいたから、つらい世界でもなんとかその光を頼りに生きていられたんだろうなというのはすごく感じます」