ビタミンD不足のサインとは? 健康への影響と摂取方法も
ビタミンD欠乏症の症状
ビタミンD欠乏症の症状は特別ではなかったり無症状のことが多いため、ビタミンDが欠乏しているかどうかを判断するのは困難です、とマクドナルド博士は説明する。ただし症状が出た場合は以下のような可能性があるという。 ・疲労感や倦怠感 ・筋肉の痛み、脱力感、筋肉の痙攣 ・手や足のしびれ ・うつ病など、気分の変化 ・病気に罹りやすい ビタミンDは筋肉の動きや神経が体全体へメッセージを送るのを助けるため、不足するとこれらのプロセスが鈍化して、疲労や筋力の低下、しびれが起こる場合がある。ビタミンDと気分の関係は明確に解明されていないけれど、研究ではビタミンDが神経細胞の成長と移動に必要な物質を脳が放出するのに役立つことが示唆されている。脳由来神経栄養因子(BDNF)を含むこれらの物質は、うつ病のリスクを低下する効果が期待されている。 またビタミンDの欠乏は、より重度になると骨疾患(子供だとくる病、成人では骨軟化症)を引き起こす恐れがあります、と語るジョーンズさん。どちらの病気も、骨が食物からカルシウムとリンを吸収するのに役立つビタミンDが不足することで、骨が柔らかく弱くなってしまう。 さらに、2021年3月に医学誌『メディシナ(カウナス)』に掲載されたレビューによると、疲労骨折はビタミンD値の低下が骨の健康に影響を及ぼしているサインかもしれないという。「疲労骨折を起こすほどの状態なら、包括的代謝検査を受けてカルシウムやビタミンDに異常がないかどうかを確認する必要があります」とマクドナルド博士は話す。
ビタミンDはどのくらい必要?
米国立衛生研究所(NIH)によると、すべての成人のビタミンDの一日あたりの推奨摂取量は、15μg(mcg)または600国際単位(IU)。いっぽう米内分泌学会は、十分な日光浴をしていない人に対し、ビタミンDの濃度を十分な範囲に保つため一日あたり1,500~2,000IUを推奨している。 「私はよく、ビタミンD値が50以下の人には5,000IU、夏から秋にかけて50を少し超える程度なら1,000~2,000IUのビタミンD摂取を推奨しています」とジョーンズさん。とはいえ、医師または登録栄養士に相談して自分に適切な用量を見つけることが大切だ。