求刑超えの懲役20年「重すぎて不当」 実子への性的虐待、高裁判断
実の娘に性的暴行をしたとして強制性交致傷罪に問われた男(56)の控訴審判決で、大阪高裁(坪井祐子裁判長)は24日、懲役20年(求刑懲役18年)とした一審・大阪地裁判決は「合理的な理由がなく量刑傾向から著しく乖離(かいり)し、重すぎて不当だ」として破棄し、懲役15年を言い渡した。 男は2022年3~4月、大阪府東大阪市内の事務所で、当時12歳だった娘と性交や口腔(こうくう)性交をして、全治不明の複雑性心的外傷後ストレス障害(CPTSD)を負わせたとして起訴された。 高裁は地裁と同様に無罪主張を退け、職権で量刑を検討した。過去の同種事件では懲役15年ほどが上限で、虐待の末の傷害致死罪でも16年が最長だと指摘。悪質性や常習性が際立っていても「類例を見ない」とまでは言いがたく、一審が裁判員裁判だったことを尊重しても、懲役20年は「許容できない」と結論づけた。 今年2月の一審判決は、娘が保育園のころから性的虐待を続け、口止めをしてきたとして「鬼畜の所業」などと批判。「他に例を見ない事案」という評価で量刑を導いていた。(山本逸生)
朝日新聞社