リオ五輪銀メダル太田忍はRIZIN大晦日決戦で所英男に勝てるのか…「レスリングの強さは見せたいがプライドはない」
「(スパーリングで)テイクダウンを取られることはないが、下から極められることは何度かある」という太田からすれば、その所の”グラップリング地獄”に引き込まれないことが勝利の条件になる。 「極めまでがすごく速いなという印象がある。しっかりと対処しないとみなさんが思っている通り一本負けがあるなと思っています」 今回は、ヒジ打ちが禁止のルールとなり、テイクダウンを取ってから、上になりヒジ打ちでダメージを与えペースをつかむというパターンが使えなくなった。 「そこからの展開をいろいろと用意していたのですが、ヒジ打ちが無くなった以上、また違う戦い方を考えながらやっています」 だからこそスタンディングでの打撃の攻防がカギを握る。所は最後にRIZINで試合をした堀口戦でも右フックを効かされたところからTKO負けしている。 太田はアマチュア時代も勝つことだけでなく「魅せる」ことにこだわってきたレスラーだった。積極的に仕掛けて会場を沸かせた。 だが、所戦は勝利にこだわるという。 「見ている方々は派手な試合や勝ち方を見たいと思いますが、僕は負けたくはないので判定でもいいのでしっかりと勝ちにこだわっていきたい」 それは憧れの存在として見ていた所へのリスペクトだろう。 ――五輪メダリストのプライドは総合のリングに持ち込みますか? そう質問すると、太田は、こう返した。 「レスリングでやってきたプライドというのは、まったくありません。MMAファイターとしては初心者です。まだ始めてまもないのでチャレンジャーの気持ちでやっていきたいなと思います。MMAに関して僕のレスリングの実績は何もモノを言わないので」 2016年リオ五輪銀メダリストのプライドも2019年世界チャンピオンの肩書きも捨て去った。 東京五輪のグレコ60キロ級代表の座を日体大の後輩の文田健一郎と争って敗れ、階級を67キロ級に上げて再チャレンジしたが、全日本選手権で1回戦負けして夢を絶たれプロ転向を決意した。その時点で太田は、もうレスリング時代の栄光は忘れ、そこで培った技術と経験、フィジカルのみを総合の世界へ持ち込むことを決意したのだろう。