人手不足の時代、「困った社員」にどう対応する?
小学生のころから変わらない
桑田さん: 小学生のころから、波はあったんですよ。 主治医 : 勤務時間中に映画や喫茶店、パチンコに行くのは? 桑田さん: ほかの人も分からないようにやっていますよ。 主治医 : お話を聞いていると、心身の病ということではないようですね。ただ生活リズムの乱れがある。 桑田さん: リズムって?
生活リズム作りを提案
主治医 : 朝起きる時間を一定にすれば、就寝時間が決まるのです。7時に起床すれば、夜11時半になれば眠れます。食事時間も決まる。生活リズムです。リズム作りが今の状態を脱する、第一歩になるよ。 桑田さん: 変えたいとは思わないな。 主治医 : リズムができれば健康にも良いですよ。 桑田さん: 健康に良いんですか。 主治医 : 医学的エビデンスもあります。 桑田さん: でも、楽しみがないと生きている意味がない。 主治医 : 今の生活をつづければ生活習慣病になるかもしれないよ。 桑田さん: そこまで言われたら。
母親も心配して受診に同伴したが
息子のことが気になっていたようで、2週間後には、母親同伴で受診しました。 母親 : 昔から気ままなところがあって。会社もいくつか替わっています。精神科と聞いて心配だったので、息子は嫌がりますが同伴しました。 主治医 : そうですか。 母親 : (強い口調で)先生、なんとかなりませんか。 主治医 : 前回は生活リズム作りを提案しましたが、いかがですか。 桑田さん: 半分くらいかな。 主治医 : 毎日実行しなければ意味がありませんよ。 桑田さん: そう言われてもなぁ。 母親 : 私も協力しますから。 この後、桑田さんが受診することはありませんでした。
就業スタイルと認められないか
対応について、会社の産業医と話し合いの機会を持ちました。 産業医 : まあ、「困った社員」と言うべきでしょうか。わが社には彼だけでなく数人います。 主治医 : 現時点では病気ではないと判断しました。小学校から同じようなので、彼が言う「生き方」なのか、私は「一つの就業スタイル」と考えてもいいと思います。 産業医 : 就業スタイルですか……。 主治医 : 今は、テレワークも含めて多様な働き方が出てきていますから、週5日定時出勤、定時退社のような一律の働き方でなくても構わないと思いますが。 産業医 : 上司や社員にどう説明すればいいのかな。