NY銅市場のショートスクイーズ、世界に波及-物流問題も背景
(ブルームバーグ): ニューヨークと他の商品取引所で取引される銅の価格間に大きなゆがみが生じ、世界の銅市場を揺るがしている。混乱の原因はニューヨーク商品取引所(COMEX)の銅相場をここ数日を押し上げているショートスクイーズ(踏み上げ)にある。
ロンドン金属取引所(LME)に対するニューヨーク銅先物のプレミアムはトン当たり1200ドル以上という前代未聞の水準に急上昇。一般的にはわずか数ドルだ。このスプレッド急拡大は、中国のトレーダーやクオンツヘッジファンドを含め主な市場参加者の足をすくった。
今回の相場急変で露呈したのは、市場参加者がポジションに資金を投じることができなくなると、商品市場がいかに急速に制御不能に陥るかということだ。こうした状況は、ニッケルからカカオに至る商品のトレーダーがここ数年直面している在庫の減少や物流の行き詰まりで、より起きやすくなっている。
COMEXのボラティリティーは長期的な銅鉱山の生産量が需要に追い付くのが困難という予測を踏まえ、投機筋の関心が急速に広がったことも反映。
LMEに比べれば重要度は低いものの、CMEグループ傘下のCOMEXは投資家にとって重要な市場で、この取引所を利用して最近数カ月間に銅に対し強気取引を積み上げた投資家もいる。
金属に特化した運用会社としては最大手であるオリオン・リソース・パートナーズのポートフォリオマネジャー、マシュー・ヒープ氏は「世界的な傾向だが、そうした投資の大半がCOMEXに向かう」と述べた。
銅価格は数カ月前から上昇していたが、今週の急騰はCOMEXと、最も売買の多い先物の7月限に限ったものだった。15日までに7月限は過去最高値を更新した。
物流に支障
多くのトレーダーやブローカーによると、この動きは典型的なショートスクイーズ。銅の世界的な指標であるLMEと上海市場の価格とCOMEXの価格が一致すること見込んでいた市場参加者は、価格が上昇するにつれてポジションを買い戻さざるを得なくなり、悪循環が生じた。