わずか19室、瀬戸内の高級宿「ガンツウ(guntû)」の真骨頂 コロナ禍を経て「高級ホテル」が選ばれる事情
総じて価格の高いホテルを選択し宿泊するということは、「顧客に徹底的に寄り添い、サポートするという、ラグジュアリーホテルの普遍的な価値を体験できる」ということなのです。 ■美しい国の、美しい一日がある。 私が社会人になって初めての出張で行ったホテルが、建て替え前の「パレスホテル」(現・パレスホテル東京)でした。 1960年、(株)パレスホテルが設立され、パレスホテルの歴史がスタートします。1961年10月、当時としては初めてオフィスビルを併設したパレスホテルは、国内外の賓客を迎えて盛大な開業披露パーティーを開催。最新設備を備えた近代的ホテルとして誕生しました。
建築物としての評価も高く、約166万枚の信楽焼の小口タイルを使用した外壁などが認められ、1963年に建築業協会賞(現在のBCS賞)を受賞しました。また、1997年にはホテル業界で初めて、ホテル内での生ゴミを有機肥料に変える循環型リサイクルシステムを実現し、“人と環境に優しいホテル”としても知られることとなりました。 2012年5月には、「パレスホテル」から新しく「パレスホテル東京」として生まれ変わりました。
パレスホテル東京のすごさは、丸の内という好立地に甘えることなく、「ジャパニーズ・ラグジュアリーホテルのフロントランナー」という立ち位置を、明確に国内外に発信し続けているということです。 アメリカのトランプ元大統領も宿泊しましたが、これからの日本のホテル業界を語るうえで、パレスホテル東京は「日本三大ホテル(帝国ホテルル、ホテルニューオータニ、The Okura Tokyo)」以上に重要なポジションを担っています。
客室の広さは、外資系ラグジュアリーホテルのスタンダードである45平方メートル以上。同じ丸の内アリアにある東京ステーションホテルのリニューアルとは違い、完全に取り壊し新しく建て直したことにも、強い覚悟を感じます。 また、2016年に「フォーブス・トラベルガイド」のホテル部門にて日系ホテルとして初めて5つ星を獲得し、それを9年連続で維持した点は特筆すべき点です。経営陣とスタッフの並々ならぬ努力のたまものでしょう。