わずか19室、瀬戸内の高級宿「ガンツウ(guntû)」の真骨頂 コロナ禍を経て「高級ホテル」が選ばれる事情
パンデミックで一時は低迷した宿泊産業。しかしコロナ禍が明け、現在、ホテル業界は再び活況を迎えている。客室のほか、レストランやスパ、宴会場などを備えるホテルは、これまでも時代とともに変化し、新しい価値を提供し続けてきた。近年はインバウンドの影響により多様化も進んでいる。 今回は「サービスの最高峰」ともいえるホテルの進化と価値づくりについて、星野リゾートで旅館再生事業を経験した林田研二氏の著書『ホテルビジネス』から、一部を抜粋してお届けする。
■高価格ホテルを選ぶべき理由 みなさんにも、OTA(オンライントラベルエージェント)を活用してホテルや旅館を予約する機会があると思います。OTAの1つに「一休.com」がありますが、一休の企業戦略では「高級な宿に高い頻度で宿泊しているお客様」をターゲットにしています。 利用者のデータを深く分析してみると、「年間100万円以上使う顧客」の売り上げセグメントが安定的に伸びているということがわかったそうです。月額換算で最低1泊10万円以上のホテルに毎月宿泊しているということになります。
世の中に高い値段が設定されているモノ・コトは、高級ホテル以外にもいろいろありますが、高価格には必ず理由があります。そしてそれは、そこにお金を払う人がいる理由でもあります。ホテルについても、それをしっかりと理解した上で利用していきましょう。 「ホテルの価格が高い=高い価値を提供している」ということです。 ホテルにおいては、お客様がそこで過ごす時間がレストランや店舗と比較しても圧倒的に長くなります。旅行であれば日常から離れて心身ともに休むこと、出張であれば長い1日の終わりに安らぐことという、高い期待値を持ってゲストは訪れます。
到着してスタッフに迎えられる瞬間や、家族とともに楽しむディナー、そして眠りにつくまで。翌朝目覚め、美味しい朝食を食べて出発時にスタッフに見送られるまで。 従業員が1つひとつの体験を少しでも良くすることは、お客様の満足度に直接的につながります。特にラグジュアリーホテルは、こういった価値提供に力を入れる傾向にあるといえます。 みなさんご存じの「ザ・リッツ・カールトン」に代表されるように、ラグジュアリーホテルではいくつもの伝説的なサービスが生まれています。