新型ホンダN-VAN e:は働く人にとって素晴らしき1台だった理由とは?
一充電走行距離は十分
一充電走行距離は245kmと長くはないけれど、たとえば、日産の軽EV、「SAKURA」や軽商用バンの「クリッパーEV」の180kmを上回っている。これはAESC製のバッテリーが1世代新しいからという。ただし、WLTCモードで245kmはベストの航続距離で、リアル・ワールドで245km走れるとは限らない。安心してください。ホンダの調査によると、宅配便の1日の走行距離は開発の拠点のある栃木県宇都宮界隈で90~100km、東京の中野辺りで50kmぐらいだという。であるなら十分実用になる。というのは、先行する他社の軽EVが実証済みかもしれない。 バリエーション展開は、商用向けのe:Gとe:L2、一般向けのe:L4とe:FUN、の全部で4タイプ。e:Gはひとり乗り+荷室、e:L2はふたり乗り+荷室で、配送業やサービス/メインテナンス業での使用を想定している。商用向けということで、ホンダの法人営業部と新車オンラインストア「Honda ON」での限定販売、リース契約のみの取り扱いとなる。 自家用車兼用の個人事業主、および趣味グルマとして使われることを想定しているのがe:L4とe:FUNで、こちらはふつうに購入できる。どちらも4人乗りではあるものの、ベーシックなe:L4の後席にはヘッドレストが省かれている。e:FUNはガソリン版同様、LEDの丸型ヘッドライトにベージュ内装が採用されるなど、レジャー向けを意識した仕立てだ。価格は22万円違うけれど、後ろにひとを乗せる機会が多いようであれば、後席にヘッドレストが備わるFUNを選んでおいたほうが後悔はなさそうである。 モーターの最高出力は、e:Gとe:L2は39kW(53ps)、e:L4とe:FUNは47kW(64ps)と差別化されている。これはちょうど、エンジン版の自然吸気とターボ、それぞれの数値と同じだ。ただし、最大トルクはどちらも162Nmを発揮する。ちなみにエンジンの自然吸気は64Nm、ターボでも104Nmだから、その違いは大きい。プラス500cc以上の余裕がある。 車重は筆者が試乗したe:L4で1130kg。e:FUNは1140kgある。エンジン版と較べると200kgほどの重い。重い電池に加え、衝突時に電池を保護するためのフレームの追加、車重増に合わせて1インチアップの13インチのホイール&タイヤを採用していたりもするからだ。