「私には兄がいて実家の近くに住んでいます。兄は2年前、突然結婚しました。いきなり結婚相手を連れて現れたから両親はびっくりしてましたね。子供はいらないとか、それでいて専業がいいとか、ちょっと変わっているなと思っていたんです。なんというか年齢の割に幼いというか…。あんまり会うこともないのでさほど知っているわけじゃないんですけど。昔からの知り合いとかでもないので、素性をそこまで知らないっていう方が正しいかも」。 そんな彼女だったが、人懐っこさもありなんとなくは家族に馴染んでいたらしい。 「距離感が近いことはいいことだと思っていました。あの瞬間までは…」。 まずいきなりトラブルになったのは、お通夜でのこと。 「やってきた彼女を見て愕然。喪服を着ていなかったんです。正確に言えば、黒い服は着ていたけど、ただのブラウスとスカート。一般的に親族でなければ、それでもいいと思いますけれど、彼女はれっきとした親族。これはまずい!と母のモノを出してきたら…」。 ーえー。こんなのダサくて着れない。 「信じられます?マナーとかモラルとかそういうのゼロなんだってことがすぐにわかりました。とは言え、ここは田舎ですし、なんとか着せて家から出ようとしたらまさかの靴もツヤツヤのサンダルで…。こちらも嫌がってはいましたが、母のモノを着用させました」。 一悶着あったお通夜から明けて、葬式当日。あり得ない事態が起こる。 「棺桶に入っている祖母と兄と3人で自撮りをSNSにアップしていたんです…」。 写真には「キレイな死に顔」と書かれていたそうだ。 【後編】では、祖母の遺体をアップした義姉のあきれた言い訳と低すぎるネットリテラシーによって引き起こされた最悪の出来事について話を聞いていきたい。 取材・文/橋本 千紗