ボーヴェを救った緊迫の裏側「ピッチで倒れてから集中治療室まで13分」救急隊の会長明かす
1日のフィオレンティーナ対インテル戦の試合途中に倒れたフィオレンティーナMFエドアルド・ボーヴェの救護活動の裏側を、担当した救助隊が所属する非営利団体の会長が明かした。イタリア紙『ガゼッタ・デロ・スポルト』が2日、伝えた。 ボーヴェは、先発したインテル戦の17分、突如、意識を失ってピッチに倒れ込み、フィレンツェ市内のカレッジ大学病院へと救急搬送されたが、現場にいた救急隊らの迅速な救護も幸いし、一命をとりとめた。現場で処置などにあたった救急隊の所属する「フラテッランツァ・ミリターレ・ディ・フィレンツェ」のジョヴァンニ・ギーニ会長が救護活動の舞台裏を明かした。 会長は、ボーヴェの場合、救命が時間との戦いだったとし、ピッチで倒れてから、わずか13分で、スタジアムから約7キロ先の病院の集中治療室へと運び込んだことを明かした。 「ボーヴェがピッチで倒れた瞬間から救急車に搬送するまで、4分が経過した。それからスタジアムからカレッジの病院までの搬送で4分かかった。カレッジの集中治療室に到着した時は、あのエピソードから13分後だった」 「ボーヴェは意識がなく、問題は広範囲にわたっていたので、道中でAEDと蘇生措置を行った。今回は、われわれが『時間次第』と定義するケースだった。その場の対応ではなく、われわれは計画準備ができていた。これが決定的だったと言える。今回の対応の全ては、プロトコール(手順)に基づいたものだ」
■救急車がピッチに入らなかったワケ
ギーニ会長は、倒れたボーヴェを運び込む際、救急車がピッチ内へ乗り入れなかった理由を明かした。 「救急車がピッチに乗り入れなかったのは、ピッチにはまって動かせなくなるリスクがあったためだ。それにピッチにいる救護チームは、救急車にあるものと同じ器具一式をリュックに装備している。またわれわれは感情面においても、しっかりとしたトレーニングを行っているんだ」 ボーヴェと同じローマ市出身で、今夏にラツィオからフィオレンティーナに加入したダニーロ・カタルディは、同僚の口の中に手を入れて気道確保を行ったことが伝えられたが、ギーニ会長は、元ラツィオMFに敬意を表しつつ、注意喚起を行った。 「彼の行為を感謝するが、ここは明確にしておく必要がある。即席の対応で解決にはならない。口の中に手を入れることは、2つの理由でおすすめできない。まず、患者が突然、口を閉じた場合、指にケガを負うリスクがある。また、患者自身も、その瞬間、口の中に傷を負う可能性があり、出血すれば、その状態の患者にとって難しいものになる。救護の講習を受けることが大切だと強調したい。数時間の講習で、人の命を救うことができる」