二人から同時に求婚?! なぜか好かれる人が行っている「自尊心をくすぐる会話術」
表面的な部分を適当に褒めるのはNG
しかし、ここで失敗すると、相手はがっかりしてしまうのと同時に、あなたに対して味方になるどころか、マイナスの感情を抱きます。「自分の話を聞いてくれないのは、自分が『大したことない人』だと思われているからだ。こんな人の言うことなんか、聞いてやる義理はない」と。 なんといっても難しいのは、相手の話を聞いて、それに沿った形で、相手が満足するようにその人を褒めることです。 例えば、東大生が「頭がいいんですね」と褒められたとします。でもその東大生は、あまり褒められた感じがしないでしょう。小さい頃からそんなことは言われ慣れているし、「自分は試験勉強が得意なだけで、そんなに頭がいいわけではない」と考えている人も少なくないからです。 また、頭のいい人がたくさんいる環境にいる機会が多かったでしょうから、そこでもし、自分より頭のいい人を見慣れていたら、「そんな人と比べれば、自分の頭の良さはそれほどじゃない」と感じる可能性もあります。 「自分は本当の意味で頭がいいとは言えない......。でも、そんなことを言ったら『嫌味』だと思われやしないだろうか」とまで考えてしまうことも。それに、成績が良いことで、逆にいじめられた経験がある人もいるかもしれません。 「この人は上っ面のことばかり言っていて、自分のことを理解してくれていないんだ」と、悲しい気持ちになってしまう東大生もいるでしょう。
自分だけが知っている相手の長所を見つけたい
では、本当に褒めるのがうまい人は、どうやって褒めるのでしょうか? やはり、相手をしっかり観察してあげることが基本になります。その人がもし、試験勉強とはまったく関係ない分野のエキスパート(「オタク」という言い方もできるかもしれませんが)だったとしたら、その分野のことを言葉を尽くして褒めてみます。 例えば、鉄道が好きな人なら「今度、九州に行こうと思っているんですよ。電車で移動しようと思っているんですが、何かオススメの電車ってあります? ○○さんなら、いい路線をいっぱい知っていると思いましたから」なんていう褒め方(持ち上げ方)ができると思います。 また、文章が美しい人なら、「□□さんからメールがこないかな?って、いつも楽しみにしているんです。言葉の選び方にアートを感じるんですよね」と褒めたりすることもできるでしょう。 学歴、肩書き、勤め先といったネームバリューなど、表面的な部分を安易に褒めるのは、あまりおすすめできません。あなたが見つけた、その相手の素晴らしいところを、心を込めて褒めてあげる。そうすると「この人は自分のことを理解してくれている」と、その相手はぐっと、あなたに惹きつけられるのです。 ただ、褒めるのがあまり上手になると、今度は相手が惹きつけられすぎて困ったことになる場合もあります。Aさんは、あるとき、二人の男性から同時に求婚され、1年近くも板挟みになって大変な状態になっていました。褒めるテクも使いすぎには注意......です!
中野信子(脳科学者)