金メダリスト、村田がデビュー戦に向けプロ仕様に変身
スタイリッシュにチューンナップ
スタイリッシュにチューンナップされていた。 米国修行を行なってきた金メダリストは、プロ仕様に見違えるようなモデルチェンジをしていた。東洋太平洋ミドル級王者、柴田明雄(ワタナベ)とのデビュー戦を25日に控えるロンドン五輪の金メダリスト、村田諒太が、この日、神楽坂の帝拳ジムで、キックのWKBF世界ミドル級王者でもあるオーストラリア人の24才、ウエズ・カッパーを相手に4ラウンドのスパーリングを公開した。 高くガードを固めたポジション。 そして、意識的に、そのガードをリズムカルに揺らす。 右は多彩だった。ストレートにフック系。ワンツーの右が早くてタイミングが読めない。ブロックの上から打たれてもドーンとキックの世界王者は仰け反った。 その右を起点にワンツー、スリーフォーまでのコンビネーションをパパパパッとまとめる。特にボディもストレートボディ、アッパーボディと、数種類あって、それをコンビネーションに加えながら上下を立体的に打ち分けていたのが印象的だった。そして打ってはサイド、打ってはサイドという横の動きも忘れない。インサイドに入ってのウェービングもまるでトレーニングのように繰り返す。キックの世界王者を両手でポンと突き放すパワーも目立った。 プレッシャーをかけて、足を使う柴田を追いつめ、一発を狙わずにコンビネーションブローで倒す。柴田戦でのプランが垣間見えた。米国でもスパーリングパートナーを務めてきたカッパーは「プロの準備は終わっている。一発でなく必ずコンビネーションにして打ってくるので村田は厄介だ」と言った。 取材に来ていた元WBA世界Sフライ級王者、飯田覚士氏は「スタイリッシュになった。プロテストでは右を打ち込みすぎるというか、フォローの力みと流れることが気になっていたが、それがなくなっていた。股関節と膝がパンチに連動して攻守のバランスとリズムがいい。ガードを高くした構えは、私が対戦したヨックタイシスオーに似ている。サラストレーナーの教えなのだろう。プレッシャーとパワーは、日本人離れしている」と評価した。 練習環境を米国のラスベガスに移してイスマエル・サラストレーナーの元、100ラウンドを超えるスパーを積んできた。その中には、IBF世界ウエルター級王座決定戦で、前半をリードしながらもランドール・ベイリーに逆転KO負けをしてしまったが、今なお全米のトップランカーの一人であるマイク・ジョーンズもいた。インサイドボクシングの名指導者、サラスから徹底してプロのテクニックを学び、余分なものが削ぎ落され、見事にプロ仕様にチューンナップされたようだ。