気象庁の異常気象分析検討会 7月の記録的な大雨と日照不足は「異常な状態」
専門家による気象庁の異常気象分析検討会が20日、臨時会を開き、今年7月の記録的な大雨や日照不足について、「広域性、持続性の観点から見ると、異常な状態というのが妥当」と評価した。 【動画】気象庁の異常気象分析検討会 7月の記録的な大雨と日照不足は「異常な状態」
今年7月は、活動の活発な梅雨前線が日本付近に停滞し続けた影響で、九州を中心に、西日本から東日本の広い範囲で大雨の降りやすい状態が続いた。特に上旬は、熊本、鹿児島、福岡、佐賀、長崎、岐阜、長野県で大雨特別警報が発表され、熊本県の球磨川が氾濫するなど、甚大な被害が生じた。また下旬には、山形県の最上川が氾濫するなど、東北地方でも大雨被害が発生した。気象庁は7月3日~31日の一連の豪雨を「令和2年7月豪雨」と名付けている。 7月の降水量は、東北地方、東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側で平年の2.0~2.4倍と1946年の統計開始以降、7月として降水量の多い記録を更新したほか、これらの地域と東日本日本海側は日照時間の少ない記録も更新している。 記録的な大雨と日照不足になった要因として、同検討会は上空の偏西風の北上が遅れたことによって梅雨前線が停滞したこと、太平洋高気圧が平年より南西に張り出したこと、黄海付近に現れた気圧の谷の影響で梅雨前線の活動が強化されたことなどを挙げた。これらの状況が生じた理由としては、フィリピン付近で積乱雲の活動が低調だったことなどがあるという。 臨時会後の記者会見で、異常気象分析検討会会長の東京大先端科学技術研究センター、中村尚教授は「温暖化の影響で台風ができたり、線状降水帯が発生するわけではない。しかし、雨が降りやすい状況になった時に、30~40年前より水蒸気量が多かったり、近海の水温が高い影響で、雨量が増える確率が高くなることは考えられる。温暖化の影響で、『今までにない』という枕詞がつくような極端なことが起こりやすくなっていることを念頭に、備える必要がある」と話した。