終わらない「令和2年7月豪雨」 梅雨明けもしばらくお預けか
「令和2年7月豪雨」はまだしばらく続きそうだ。 梅雨前線は東シナ海から対馬海峡を通って東北地方にのびており、さらに朝鮮半島付近にある低気圧が今後、日本海を北東に進む見込みだ。前線や低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込む影響で、西日本や東日本、また東北地方でも大雨となるおそれがある。気象庁は「少なくとも14日までは前線は停滞する見込み」としている。 気象庁によると、10日午後3時20分時点で、福岡・佐賀・長崎・大分・熊本・徳島県に地元自治体が避難勧告を発令する目安となる「土砂災害警戒情報(警戒レベル4相当)」が、長野・岐阜・静岡・愛知・石川・広島・愛媛・鹿児島の8県に避難準備・高齢者等避難開始を発令する目安となる「大雨警報(警戒レベル3相当)」がそれぞれ発表されている。 九州北部では、すでに局地的に、1時間80ミリ以上の猛烈な雨が降っているところもある。 また九州北部以外でも、瀬戸内海沿岸地域や北陸、東北地方など、九州以外の地域でも11日にかけて大雨となるおそれがある。過去には、現在と同様に梅雨前線の活動が活発化したことによって「平成16年7月福井豪雨」や「平成16年7月新潟・福島豪雨」などが同じような時期に発生している。九州などと比べ、予想されている雨量は少ないものの、普段雨の少ない地域にとっては災害を引き起こす可能性が高い雨量となることも十分考えられる。また、近年、過去の豪雨災害で被害を受けなかった場所でも、大きな被害を受けるケースは少なくない。「以前は大丈夫だったから」などと考えず、早め早めに身の安全を確保するよう心掛けたい。 なお、気象庁によると、北陸、四国、九州北部は12日にかけて、関東甲信、東海、中国、九州南部は11日いっぱい、大雨の警報クラスとなる可能性が高く、その後も大雨の警報クラスの可能性がある。また、同庁の立原秀一・天気相談所所長は「少なくとも、今後1週間程度は梅雨明けの可能性は低い」と話しており、しばらくは大雨による土砂災害や浸水被害への警戒を続けたほうがよさそうだ。