協議が進む「103万円の壁」県内の大学生や飲食店も関心高く…【佐賀県】
サガテレビ
現在引き上げに向けて協議が進められているいわゆる「103万円の壁」。最低賃金が上がっている中で学生などアルバイトで働く人たち、それにアルバイトの労働力に頼る飲食店などにも影響があり、関心が高まっています。県内の現状を取材しました。 【大学2年生】 「空いてる時間に働ける時間があるのに、働けないのがちょっと煩わしい」 【パートで働く主婦】 「意識して100万以内でって思ってますね」 アルバイトなどの“働き控え”につながっているとされる「103万円の壁」。今の制度では年収が103万円を超えると、本人に所得税が発生することにくわえ、学生の場合は親の“税負担”が増えることも。 【大学3年生(男子)】 「親とかからは103万は、100万超えないでって言われているので」 【ファイナンシャルプランナー 山本愛さん】 「大学生のお子さんの方の収入が増えてしまうと扶養から外れてしまいますので、その基準っていうのもやっぱり“103万”」 佐賀市神野東にある焼肉店・笑家こうの店。佐賀牛の食べ放題がリーズナブルに楽しめるとして人気のお店です。 店が賑わう年末に向かうこの時期、店長の河野さんを悩ませるのがアルバイトのシフト調整です。 【笑家こうの店 河野星斗店長】 「なるべく超えないように調整をさせてもらいながら、シフトを作らせてもらってます」 スタッフの学生も繁忙期に備えて調整したと話します。 【アルバイトスタッフ】 「忙しいシーズンは入れるようにして落ち着いたときにはシフトを抑えてもらってっていう働き方」 【笑家こうの店 河野星斗店長】 「ベテランのスタッフの方が(出勤の)希望も出してくれたり仕事のできる量も多かったりするので、扶養の関係で減ってしまうとなかなかちょっと難しいところがあるかな」 【アルバイトスタッフ】 「親にはなるべく入るなよ、100超えるなよとは言われてますね」 FPとして県内の子育て世代を中心にお金の相談に乗る山本さんは、「扶養控除」が学生の働き方に大きく影響すると指摘します。 【ファイナンシャルプランナー 山本愛さん】 「63万円の扶養控除を使えなくなってしまうというところが親御さんの方がそこを気にされてるんじゃないかな」 「扶養控除」は16歳以上の子を持つ親などが使える税負担を減らす仕組みで、例えば高校と大学に通う2人の子どもがいる家庭の場合、税負担を20万円近く減らすことができます。しかし大学生の子どもの収入が“103万円”を超えると… 「扶養控除」の適用を外れ、親の手取りが大きく減ることに。大学生の働き方が家計全体を大きく左右します。 【大学1年生(女子)】 「上がったらもっと働きたい、友達と旅行に行きたいです(笑)」 “壁の引き上げ”に胸を膨らませる学生たち。時給が上がる一方で“上がらない壁”にもどかしさを感じていた飲食店側も期待を寄せています。 【笑家こうの店 河野星斗店長】 「時給は自ずといま上がってきているんで、それで扶養の上限が変わってないんで、ってなると(アルバイトの)入れる日数が減ってしまうんで、まあできたら上がってほしいな」 県によりますと、宿泊・飲食サービス業でアルバイトが占める割合は、今年8月時点で他の業種を大幅に上回る85%近くにのぼり、全国のデータを上回るなど、アルバイトの労働力が県内の飲食店などの運営に大きく影響します。 【笑家こうの店 河野星斗店長】 「社員が2人とアルバイトさん27名、社員ももちろんなんですけど、やっぱアルバイトさんがいないとこのお店も回らないので」 【パートで働く主婦】 「扶養内で働こうと思ってそのギリギリのラインで計算をする感じ」 一方、パートなどで働く主婦の多くが気にするのが“社会保険の壁”。年収が106万円または130万円を超えると夫の扶養の対象外となり、年金や健康保険に自ら加入することになります。 【ファイナンシャルプランナー 山本愛さん】 「(壁を少し超えても所得税は)せいぜい5%、でも社会保険料はざっくり給与月給の15%が引かれる」 【パートで働く主婦】 「結局手元に残るお金がそんな変わらないのであれば、仕事が負担になるのは困るかなと」 手取りが大きく減るため避けられる“社会保険の壁越え”ですが、この壁の見直しも検討されています。 【ファイナンシャルプランナー 山本愛さん】 「(年収に関係なく)週20時間以上働いた場合はもう社会保険に加入しなければならないというおそらくそういう方向にいずれなってくる」 様々な“壁”の変化にどう向き合うのか。FPの山本さんは長い目で考えてほしいと話します。 【ファイナンシャルプランナー 山本愛さん】 「目先の法律の変更ってあんまり関係ないんですよね、収入を増やし続けていく方が老後までの家計の安定には大きなプラスになってくる」 自分の望む人生にあわせた“お金の計画”を立てることが重要です。 【ファイナンシャルプランナー 山本愛さん】 「FP相談での割引っていうのも国の施策として始まってきますので、そういったのも活用してですね(専門家に)相談されるといいかなと」 お金についての学びを広く提供しようと、今年4月に国に認可されて設立された「J-FLEC」は、団体が認めたFPなどとのオンラインでの無料相談を受け付けています。 詳しくは「J-FLEC(ジェイ・フレック)」のホームページを御覧ください。
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