国内初の内密出産から3年…実施38例に 実母全員が親からの虐待・過干渉などの経験 熊本・慈恵病院
国内初の内密出産から近く3年を迎えます。熊本市の慈恵病院は、これまでに38例を実施したと明らかにしました。 【動画特集】内密出産の実母語る「最後まで諦めないで」孤立した女性へ伝えたいこと 蓮田健院長 「3年間で38例になりました」 慈恵病院の蓮田健院長は28日、会見を開き、今年17例の内密出産を実施し、これまでの累計は38例になったと明かしました。 病院によると、38人の実母のうち、32人が未受診の状態で来院。内密出産を希望する第一の理由として最も多かったのは、35人が挙げた「親や家族に知られたくない」でした。また、38人全員に、親から虐待や過干渉を受けた経験があるなど、家族との関係性の悪さが認められたということです。なお14人は出産後に身元を明かしています。
蓮田院長は、陣痛が起こる前に女性を保護することで、孤立出産や乳児の遺棄・殺害を防ぐという取り組みの意義を改めて強調した一方で、県外からの長距離移動への懸念も述べました。 蓮田健院長 「遠方からお越しになる方が、ギリギリで出産になることがある。これは危うい。新幹線乗車中に陣痛がいよいよ強くなって、途中下車して救急車の中で出産したケースもありました」 女性の長距離の移動にはリスクが伴うとして、各都道府県に1カ所ずつ内密出産できる施設が必要だと話しました。