「地面師」が”なりすまし役”を手配してくる場所はまさかの…警察組織を翻弄する「地面師たち」の衝撃的なノウハウ
Netflixドラマで話題に火が点き、もはや国民的関心事となっている「地面師」。あの人気番組「金スマ(金曜日のスマイルたちへ)」や「アンビリ(奇跡体験!アンビリバボー)」でも地面師特集が放映され、講談社文庫『地面師』の著者である森功氏がゲスト出演した。同書はすべて事実を書いたノンフィクションであり、ネトフリドラマの主要な参考文献となっている。 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ」…性的虐待を受けた女性の「すべてが壊れた日」 不動産のプロですらコロッと騙されるのだから、私たち一般人が地面師に目をつけられたらひとたまりもない。そのリスクを回避するためには、フィクションであるドラマよりも、地面師の実際の手口が詳細に書かれた森氏のノンフィクションを読むほうが参考になるだろう。 地面師たちはどうやって不動産を騙し取るのか。森功著『地面師』より、抜粋してお届けしよう。 『地面師』連載第75回 『「あなた本当は田中さんじゃないよね」…“地面師詐欺”に協力した「弁護士」が突如裏切って“なりすまし役”を問い詰めたワケ』より続く
どうやってなりすまし役を手配してきたのか
これまで書いてきたように、逮捕や起訴された地面師事件はさほど多くないが、詐欺行為そのものは数限りなく起きている。それらの多くにかかわってきた斯界のスター内田マイクも、浜田山の駐車場事件で実刑判決が下されたものの、それ以外の事件では逮捕されても不起訴処分に終わっている。服役し、数年後には一般社会に舞い戻ってくる。その繰り返しだ。 また、手配師の秋葉紘子も同じように、何度も捜査の網を潜り抜けてきた。彼ら大物地面師たちは積水ハウス事件でようやく起訴されたが、手配師やなりすましの刑は意外に軽い。彼女はどうやってなりすまし役を手配してきたのか。 アパ事件において秋葉の指示によりニセ鈴木兄弟を見つけてきた別の女性がいる。彼女たちの接点を探っていくと、どうやら清掃員仲間だったという。 「彼女たちは介護施設などの清掃に派遣されてきたと聞いています。そこで認知症の高齢者を知り、リストアップしていったのではないか、とされています」 そう話す事情通がいる。都心の優良物件を所有する資産家は高齢者が多い。アパ事件のなりすまし役だった松本を巣鴨の喫茶店で見つけてきたように、介護施設の利用者に声をかけるのも、地面師たちのノウハウの一つなのであろう。事情通はこうも言った。 「認知症などの症状がなくとも、なりすまし犯の多くは、事件における出来事は断片的にしか覚えていない。いざ、なりすまし役を逮捕しても、証言能力に乏しいケースが少なくありません」 それが捜査の壁となり、前に進まないのだという。