50代なら知っておきたい年金の「繰り下げ受給」。本当にお得? 年金が増えるって本当?
ふたつの年金は、別々に繰り下げ受給ができる
これまで厚生年金に加入していた人は、「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」のふたつの年金を受け取れます。このふたつは、別々に受け取る時期を変えられます。「どちらかは65歳から受け取り、どちらかは65歳より遅らせる」という選択肢もあるのです。 また、夫婦の場合、「夫は65歳から受け取る」「妻は70歳から受け取る」などと、時期を分けることもできます。夫婦で考えると、遅らせるのは妻のほうがお得なケースが多いでしょう。一般的に女性のほうが長生きで、年金額アップの年数が長くなる可能性が高いですし、男性のほうが年金受給額が多いことが多く、受給額が少ない人を遅らせたほうが、増えた年金に対する税負担を抑えられるからです。 年金の受取額は、さまざまな条件によって変わり、細かい注意点もあります。50代後半くらいになったら、自分やパートナーの年金額を確認して、プランを立てるのもよいでしょう。具体的なプランを考える際には、年金事務所に行って相談することもおすすめです。
老後に受け取る「年金」は、「長生きのための保険」と考えよう
とはいえ、「老後に受け取る年金」は、「老後のご褒美」というよりも、「保険」としてとらえることが大切です。「保険」といえば、海外旅行で急病や盗難などに備える保険や、日常生活で病気やケガに備える保険などがありますよね。「保険=万一のリスクに備えるもの」です。老後に受け取る年金とは、実は「長生きするリスク」に備えるものなのです。 極端な話、事前に「65歳で亡くなること」がわかっていれば、65歳から年金をもらう準備をする必要はありません。でも、「90歳、100歳、いったいいつまで生きるのだろう…」と思いながら長生きする可能性があって、いったいどれだけお金を準備しておけばよいのか想像がつきませんよね。 そのために、一生涯受け取れる「年金」があるというわけです。どんどん取り崩して減っていく預貯金とは異なり、年金なら、一定額を一生、つまり死ぬまで受け取ることができるわけですから、長生きをしても、一定額を受け取れる安心感があるのです。「長生き」はおめでたいことなのですが、お金の面では「リスク」として考える必要性もあることを念頭に置いておきましょう。