〈脳を若返らせる5つの生活習慣〉成功したことや幸せだったことをくり返し回想…一生ボケないためには「スマホから離れ」「最低6時間睡眠」
死に方のダンドリ #3
そこそこ元気で、ぎりぎりお金があり、住むところに困らず、相続で揉めることもなく寿命をまっとうするには、アルツハイマーなど脳の病気にならないことも重要だ。脳が生き生きとした状態で過ごすためにいまから気をつけたい生活習慣とは? 【写真】彩り豊かなバランスのよい食事 書籍『死に方のダンドリ』より一部抜粋・再構成し解説する。
一生ボケない! 脳を若返らせる5つの生活習慣
私は、患者さんには脳の機能を回復させるための生活習慣の改善やちょっとしたトレーニングをおすすめしています。 認知症の兆しは40代、50代にある、という説があります。脳の衰えを実感したのなら、そこから脳のメンテナンスを始めるのがいいでしょう。 認知症対策にもなります。認知症は、食事、運動、睡眠などの生活習慣を見直すだけである程度の予防をすることが可能です。脳血管性認知症を起こさないためには脳血管障害を防ぐのが一番。 そのためには動脈硬化につながる高血圧や糖尿病などの生活習慣病にならないように気をつけることが必要です。アルツハイマー型認知症にも、生活習慣病の予防が効果的であることがわかっています。 生活習慣病を予防しつつ、日常生活を送りながら脳を活性化する工夫もしていきましょう。ここからは私が患者さんにおすすめしている、脳を若返らせる生活習慣5カ条を紹介します。
(1)バランスのよい食事をよく嚙んで食べよう
「これを食べれば認知症を防げる」というものはなく、逆に「これを食べたらダメ」というものもありません。野菜、肉、魚などをバランスよく食べることを心がけましょう。 栄養面からバランスを取ろうとすると難しく感じるかもしれませんが、食事の「彩り」に気を配れば、おのずとバランスのよい食事になり、抗酸化物質を含んだ食べ物も摂れるようになります。茶色や白色のものだけでなく、緑、黄色、赤などの食材が適度に入る食事を摂りましょう。 食事のときの「嚙む」行為にも意識的になりましょう。私たちは普段、食事のときの嚙む行為を何気なくやっています。しかし、嚙むことは認知症防止にとってじつは非常に重要です。 筋肉の運動によって脳に送られる情報の中でも、あごから送られる情報量はかなり多いとされています。よく咀嚼すると、大脳・小脳ともに血流が8~20%上昇します。血流が増えると脳に栄養や酸素が行き渡ります。その結果、神経回路の増加が促されたり、細胞の働きを活性化したりする効果が得られます。 よく咀嚼した約2時間後には、脳内ではFGF(線維芽細胞増殖因子)と呼ばれる成長因子の量がピークを迎え、記憶力や集中力が高まり、学習効果も高まります。 嚙む回数の目安は、一口20~30回です。普段の食事をよく嚙んで食べるのはもちろん、毎日のメニューによく嚙まなければいけない食材を取り入れることをおすすめします。イカやタコ、根菜、キノコ類、切り干し大根などの乾物は嚙みごたえのある食材です。 おやつとして、ガムを嚙むのもいいでしょう。65歳以上の1000人を対象に行われた記憶力テストで、ガムを2分間嚙んで答えたときの正答率は嚙まないで答えたときの正答率より約15%以上高かったという結果が出ています。