テレビの大画面化、どこまで 163インチ、CESで登場 100インチ、日本も「想定以上」の売れ行き
どこまで大画面化は進むのか――。日本国内でも100インチを超える大画面テレビが市場投入される中、米ラスベガスで開催中のテクノロジー見本市「CES 2025」では、中国大手から163インチという超大型テレビが披露された。需要を探る段階ではあるが、136インチは米国で市場投入を決めるなど大画面競争は続いている。 【関連写真】壁を埋め尽くすほど大きなTCLの163インチテレビ 「ハイセンスは2024年第3四半期(7~9月)で100インチテレビの世界シェアでトップとなった」。CESのプレスカンファレンスに登壇した、ハイセンス・インターナショナル副社長であり、ハイセンス・アメリカ社長を務めるデビッド・ゴールド氏はそう力を込めた。 ハイセンスは昨年7~9月、100インチテレビの世界出荷台数で63.4%のシェアを獲得。日本でもグループのTVS REGZAが23年12月に100インチテレビを投入しており、今年2月には110インチとさらに大型なテレビの発売を予定する。日本の住環境には合わないとされてきた大画面テレビだが、65インチを超えるサイズの構成比も高まっており、「100インチも想定を超える販売」(TVS REGZAの石橋泰博副社長)で推移する。 グローバルで大画面が主流になりつつある中、今回のCESではハイセンスとTCLという中国大手2社から超大型テレビの発表が相次いだ。 ハイセンスは、136インチのマイクロLEDテレビを発表。2488万個もの微細なLEDを配置し、高精細な映像表現を実現したもので、米国で今年末に発売予定という。116インチの大画面テレビも投入するなど100インチ以上のラインアップ拡充を加速している。 TCLも115インチの大画面テレビをブースで展示し、100インチ以上での存在感をアピール。加えて、「需要があるかを見極めている状況」(担当者)という163インチのマイクロLEDテレビを参考展示した。163インチはハイセンスも参考展示しており、中国大手2社が超大型テレビの開発競争でしのぎを削っていることがうかがえる。 テレビが大型化すると設置できる環境が限られる上、重量の問題も出てくる。視聴していない時は、画面が真っ黒であるため、部屋のインテリア性を損なうとの指摘もある。量産効果も薄れるため、価格も高い。TVS REGZAが日本で発売する110インチ品の想定価格は約500万円に上る。 特にインテリア性を損なうことを嫌う声は高まっている。プロジェクターに切り替える動きが出ているほどだ。ユーザーをつなぎとめるために、CESでは視聴以外の時間に絵画などを表示することで、部屋に絵を飾っている感覚でテレビを使える提案も各社が行っている。
電波新聞社 報道本部