ただいま建て替え工事中 ── 名古屋の顔「大名古屋ビルヂング」はどんな風に変わるの?
大規模な再開発ラッシュに沸く名古屋駅エリア。ビッグプロジェクトの一つとして注目を集めるのが「大名古屋ビルヂング」の建て替え計画だ。その印象的なビル名とともに約半世紀にわたり、名駅前の「顔」として独特のインパクトをもって人々に愛され続けたが、2012年9月に惜しまれつつ閉館。地上34階、地下4階建て、高さ約175メートルとこれまでの4倍以上の高さを誇る、新しいシンボルタワーとして生まれ変わる予定だ。昨年12月、本開発計画のひとつで新ビルに入居予定の三越伊勢丹ホールディングスを含む商業施設の開業が2016年3月となることを発表。まずは金融機関、ショールーム、一般オフィス等からなる事務所部分について、今年11月中の順次開業に向け、着々と工事が進む。「大名古屋ビルヂング」はどのように変わり、受け継がれる部分はあるのだろうか。
築50年をもって、3年前に惜しまれつつ閉館
2012年9月30日、竣工から50年をもって大名古屋ビルヂングは閉館した。その日を前に、ビル内にて『ありがとう50年。そして未来へ―大名古屋ビルヂング閉館記念写真展』を約1か月間開催。続いて閉館までの6日間はビル全体に、ブラインドと室内照明を用いて「THANKS」のメッセージが表示され、歴史に幕を閉じた。 「長年ここに勤め、夫と出会った場所でもあり、まさに青春を過ごしたビル」「ビル内の専門学校生時代に毎日通っていた、ダイナード地下街の喫茶店がなくなるなんて…」「帰省するたびこのビルを見ると、名古屋に帰ってきたなあ、とほっとしていたのに」など、市民からは閉館を惜しむ声が次々と寄せられた。 そもそも建設のきっかけは「伊勢湾台風」だったという。1965年、大災害後の惨憺たる名古屋の状況を打破すべく誕生したビルであり、東京を拠点とする三菱地所の地方進出第一号でもある。100以上の企業が入るオフィスビルであり、ビル内の就業人口は3000人以上。ビルの地下には名古屋で4番目にできた地下街「ダイナード」があり、喫茶店やあんかけスパ、みそカツなど名古屋らしいてテナントが並んだ。 屋上にあったビアガーデン「マイアミ」は夏の風物詩として賑わった。開業当時から、名古屋の産業・経済の発展のなかでオフィスワーカーたちに寄り添い、共に生きてきたビルだといえよう。