パート先で「賃上げ」が実施される予定であり、「仕事の負担が増えてもよいので、扶養を外れて働こうか」と考えています。扶養から外れて働くことによって、将来の年金額はどのくらい増えるのでしょうか?
パートで働く場合でも、扶養から外れて社会保険へ加入することで、将来の年金額の増加が期待できます。一方で、社会保険料の負担も生じます。本記事では、社会保険への加入による年金額と保険料の負担について解説します。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
パート収入における「年収の壁」
手取り額に影響のある、「年収の壁」があります。パートで働く人は「103万円の壁」などといった話を聞いたことがあるでしょう。この「〇〇〇万円の壁」とは、年間収入が一定以上になると、扶養から外れ、税金や社会保険料に影響が生じる数字を示したものです。 年収の壁は5つあり、その種類を大きく分けると「税金の壁」と「社会保険の壁」の2つに分類できます。まとめると、図表1のようになります。 図表1
※筆者作成 ■従業員数が51名以上の会社で、月収が8万8000円以上ある場合、社会保険への加入義務が生じる「106万円の壁」 2016年10月から始まった「社会保険適用拡大」により、2024年10月以降は、勤務先の従業員数が51人以上・収入が月額8万8000円以上ある場合も、社会保険の加入対象になりました。月収8万8000円×12ヶ月で、年間収入は105万6000円(約106万円)となります。これがいわゆる「106万円の壁」です。 2024年9月まで、社会保険適用対象の条件の一つである「勤務先の従業員数」は、101人以上でした。2024年10月以降は、従業員数の条件が「51人以上」となったことで、勤務先が新たに社会保険適用拡大の対象となることがあります。この場合、収入が変わらなくても社会保険の加入対象になる可能性があり、注意が必要です。 なお、社会保険適用拡大には、勤務先の規模や収入以外にも、以下の条件があります。 ●週の所定労働時間が20時間以上30時間未満 ●2ヶ月を超える雇用の見込みがある ●学生ではない
社会保険加入で将来増える年金額
ここからは、パート勤務の人が社会保険に加入することで、将来受け取れる年金額がどのくらい増えるのかを確認します。 社会保険に加入すると厚生年金にも加入することとなり、将来もらえる年金については、老齢基礎年金(国民年金)部分に加えて、厚生年金のうち「報酬比例部分」に当たる年金額が増えることになります。図表2では、収入と厚生年金の加入期間から、増える報酬比例部分の年金額の目安が分かるようになっています。 図表2