パート先で「賃上げ」が実施される予定であり、「仕事の負担が増えてもよいので、扶養を外れて働こうか」と考えています。扶養から外れて働くことによって、将来の年金額はどのくらい増えるのでしょうか?
出典:厚生労働省 「社会保険適用拡大ガイドブック」 ※年金保険料は概数であり、実際の金額とは異なります。 例えば、月収10万円(年収120万円)であれば、図表3から、月額およそ9000円の負担が生じることが分かります。 なお、例えば夫が自営業者(第1号被保険者)などといった場合は、それまで国民年金(令和6年度の月額保険料1万6980円)に加入していた妻(第1号被保険者)が、パートの勤務先で社会保険に加入することで、年金保険料が安くなる場合もあります。 ■健康保険料・介護保険料の負担 会社員である配偶者の扶養に入っていた人(第3号被保険者)が、社会保険に加入すると、自身の健康保険料や40歳以上の人の場合は介護保険料の負担も新たに生じます。 例えば、月収10万円(年収120万円)の場合、東京都の協会けんぽ令和6年度保険料額では、健康保険料は約4890円、40歳以上64歳までの人の介護保険料は約780円となります。 なお、第3号被保険者が社会保険に加入しても、会社員の配偶者が納めている保険料が減ることはありません。結果として、世帯全体の保険料負担も増えることになります。 一方で、自営業者など国民健康保険料を納めている世帯の場合は、扶養している人が社会保険に加入することで、世帯全体の納める国民健康保険料が減る場合もあります。
まとめ
社会保険に加入すると、「厚生年金」へ加入でき、将来受け取れる年金額が増えるメリットがあります。万が一亡くなったり、一定の障害を負ったりした場合、遺族厚生年金や障害厚生年金を受けられるなどのメリットもあります。 また、勤務先が所属する「健康保険」への加入も、国民健康保険にはない「傷病手当金」や「出産手当金」を受けられるといったメリットがあります。 一方で、保険料の負担により手取りが減る場合や、配偶者の扶養手当などが減額または廃止されることもあります。社会保険に加入するメリットや、世帯全体の手取り額への影響などをしっかり確認しながら、働き方を検討するようにしましょう。 出典 厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト パート・アルバイトのみなさま 日本年金機構 年金給付の経過措置一覧(令和 6年度) 日本年金機構 国民年金保険料 全国健康保険協会(協会けんぽ) 令和6年3月分からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都) 執筆者:小山英斗 CFP(日本FP協会認定会員)
ファイナンシャルフィールド編集部