パート先で「賃上げ」が実施される予定であり、「仕事の負担が増えてもよいので、扶養を外れて働こうか」と考えています。扶養から外れて働くことによって、将来の年金額はどのくらい増えるのでしょうか?
出典:厚生労働省 「社会保険適用拡大ガイドブック」 ※年金額は概数であり、実際の金額とは異なります。 例えば、月収8万円(年収96万円)でこれまで社会保険に加入していなかった人が、月2万円分多く働くようにして月収10万円(年収120万円)になったとします。勤務先が社会保険の適用対象であり、収入以外の条件も満たしていれば、「106万円の壁」に該当しますので、社会保険への加入義務が生じます。 月収10万円(年収120万円)で加入期間が10年の場合、増える年金額は目安として月額4900円となります。年間では、5万8800円の増額です。 ■60歳以降も社会保険に加入することで、年金額を増やせる場合もある 国民年金の老齢基礎年金を満額受給するためには、20歳から60歳になるまでの40年間、全ての国民年金保険料を納めている必要があります。国民年金保険料の未納分がある場合は、満額受給することができません。 しかし、60歳以降も社会保険(厚生年金)に加入することで、老齢厚生年金の経過的加算額が支給され、未納分を穴埋めすることができます。例えば、令和6年度の定額単価1701円(昭和31年4月2日以後生まれの単価)を基準に計算すると、60歳以降の方における厚生年金加入期間1年当たりの経過的加算額は、約2万円増えます。
社会保険への加入で保険料負担が生じる
社会保険に加入すると、将来の年金額が増えるメリットがありますが、一方で社会保険料を納める負担も生じます。社会保険料は、厚生年金保険料や健康保険料、介護保険料といったものの総称です。社会保険料は勤務先との折半となっており、給与から天引きする形で勤務先が納付を行います。 ■厚生年金保険料の負担 会社員である配偶者の扶養に入っていた人(第3号被保険者)の場合、年金保険料は配偶者の加入している厚生年金で一括して負担されていたため、自身で納める必要がありませんでした。しかし、扶養から外れて社会保険に加入した場合、新たに自身の厚生年金保険料の負担が生じます。 図表3