「チョウを追いかけると天国にいける!」40すぎて昆虫採集にどハマりした元ビーパル編集者の激白
7月の道東で出合ったチョウたち
視界を横切るチョウは、ほとんどが初見のものばかり。 優雅にたくさん飛んでいるのは、エゾシロチョウ。 ミヤマカラスアゲハはありふれたチョウだが、ここのは翅に北方の空に現れるオーロラが描かれている。 すっと現れたカラフトヒョウモンを捕る。 これは翅の裏側がパッチワークのように赤茶、灰、黄、焦茶、そして銀白色となっている。とくに後翅中央の銀白色のコマが特徴で、これがないのはホソバヒョウモンという別種。シロオビヒメヒカゲという一見シジミチョウとも思える翅の裏を見せるタテハも採取。 道路脇の花にはアカマダラ、クジャクチョウなんかも吸蜜に来ている。 見たことのない明るい黄色をしたセセリチョウも採取。あとで調べるとカラフトタカネキマダラセセリという長い名前のチョウだった。
チョウを追いかける幸せな時間
レンタカーの屋根にはサトキマダラヒカゲ。大型で目立つ全国に分布するチョウだが、私はこのときに初めて見た。四十も過ぎてから目覚めた趣味で、目にするものはすべて初見、教えられることはすべて新知見という、とっても幸せな時期だったのだ。 そう、私は幸せでした。 このとき、私の脳裏には、会社のことも人との約束もありませんでした。家族のことすらなかった。 人の姿は見えません。 ヒグマは道端のフキの葉陰からこちらを見ていたかもしれませんが。 聞こえるのは川のせせらぎと、アブの羽音だけ。 ああ、天国とはこういうところなのだろう。 この瞬間は私にとって人生の転機になりました。詳しいことは書きません。いい齢をしたオヤジでも、夏に学ぶことはあるのです。 ところでオオイチモンジはどうした? 私が書きました! 水彩画家・文筆家 宮川 勉 BE-PAL編集部OB(ビーパル小僧)。小学館で「BE-PAL」などの雑誌編集者として勤務後、「新 幼児と保育」を創刊し乳幼児保育関連の編集を担当。画家としては2024年に初の個展「中山道のリアル」展を開催。これまでに2冊、私家本をつくる。1冊は『黒猫と街灯を見ている~昆虫イラストエッセイ~』(完売)、もう1冊が中山道歩きをテーマにした『中山道のリアル~エッセイのある水彩画集~』。次回作品のテーマは奄美大島の文化と自然を予定。
BE-PAL.NET