住人の姿消えた輪島市西保地区、豪雨で孤立状態続く…未だ残る爪痕見て「これはどうしようもねえわ」
赤崎集落は中谷内さん夫婦ら7世帯14人が暮らしていた。元日の地震でも孤立し、廃校になった小学校で2週間過ごした。夏に電気や水が復旧したところだった。「豪雨で最後の望みが砕かれた。もうみんな戻らないのではないか」と中谷内さんは言う。
自身も、家の庭や先祖の墓、丹精こめて耕していた畑が土砂に埋もれた。5年前にリフォームしたばかりの自宅は解体せざるをえないと考えているが、未練もある。「生家に戻ると落ち着くんです。おやじとお袋の匂いがしますからね」
県道路整備課によると、奥能登では17路線35か所が現在も通行止めだ。西保地区を貫く輪島浦上線のうち、西側ルート(門前町浦上―下山町)については年内に復旧させ、緊急車両と住民に限って通れるようにする。これで西保に入るルートは2本になるが、どちらも狭く、降雪時は難路になる。担当者は「県道の応急復旧後も地元住民の利便を考え、できるかぎり除雪もしながら工事を進めていく」としている。一方、東側ルート(輪島市中心部―下山町)は地震で大規模に崩落し、通行再開まで数年かかる見通しだ。