渡辺健被告(31)

2021年11月に新潟市南区の自宅で29歳の妻と1歳の娘を殺害した罪などに問われている男の裁判員裁判が新潟地裁で開かれている。11月12日は論告弁論が行われ、検察側が無期懲役を求刑。一方で弁護側は有期刑での判決を求めた。 【事件の詳細】妻と1歳の娘を殺害後…不倫相手に「大好き大好き」とメッセージ 元看護師の男(31)の初公判 何度も殺害企て「不倫関係を継続するため犯行に」【初公判詳報】 最終陳述で渡辺被告は「妻と娘にしてあげられなかった数々の後悔、自分の犯した数々の過ちを一生振り返り考え見つめ、お詫びし続けたい」と声を詰まらせながら話した。

■「不倫継続するため…」以前からの殺意を主張

検察側

殺人や殺人未遂、殺人予備、窃盗など４つの罪に問われている新潟市南区の元看護師・渡辺健被告（31）。 起訴状などによると、渡辺被告は2021年9月、当時勤務していた病院から塩化カリウム10本を盗んだほか、11月7日には自宅で妻の春香さん（29）と娘の純ちゃん（1）の首をロープで絞め付け自殺を装い殺害した罪などに問われている。 裁判では、渡辺被告が塩化カリウムを盗んだ時点で2人への殺意があったかなどが争点となっていた。 12日に開かれた裁判で検察側は、「渡辺被告が不倫関係を継続するために、その障害となる春香さんと純ちゃんを排除しようと、合計５回にわたって殺害を試みるなどした事案」と説明し、渡辺被告には「一貫した殺意があった」と主張した。 2021年3月に睡眠薬入りの飲料を春香さんに飲ませ、春香さんが交通事故を起こした殺人未遂事件について、検察側は… 検察側： 「春香さんは運転開始時、または運転中に睡眠薬の効果が発生し、対向車と正面衝突する大事故を起こす可能性があり、春香さんと純ちゃんが死亡する危険性が十分に高い状態であった。それを回避するために、渡辺被告は春香さんの運転行為を制止すべき義務があった」 このように説明し、「強く執拗な殺意があった」と結論づけた。 また、2020年12月28日以降にインターネットで殺害関連の検索が多数確認されたことなどから「長期的かつ執拗な殺意があった」と主張。

■検察側は「無期懲役」を求刑

渡辺健被告

さらに、勤務先の病院から塩化カリウムを盗んだ時点での殺意もあったとしたうえで、渡辺被告の行為を厳しく非難した。 検察側： 「不倫相手との関係の浮き沈みで春香さんへの加害行為を繰り返し、殺人事件の犯行直前に四十九日の忌明けを検索するなど犯行動機は身勝手極まりなく、同情できる点は露ほどもない。特に守るべき純ちゃんを自らの欲望のために殺害した点は、格段に強い非難に値する。７か月以上にわたり複数回殺害を企て、実行するなど執拗な犯行で、殺害方法の検索やロープの事前準備など高い計画性がある。さらに殺害方法に絞殺を選んだのは、自殺を偽装するためで、殺人の犯行時には２人が確実に動かなくなるまで首を絞め続けるなど強固な殺意に基づく冷酷残忍な犯行。被告人が不倫相手との関係維持のため、邪魔者として妻子２人を排除したもので被害者の落ち度は一切無い。遺族の処罰感情は極めて厳しく、事件後の態度も自らの責任に真摯に向き合おうとする態度が皆無である」 そして、「無期懲役」を求刑した。