聴覚障がいを抱えながら1人で“世界80か国以上”旅する女性。旅先で感じた「聞こえないメリット」とは
夜中のザンビアで警察官に連行されたことも
けれどそんな困難はまだ序の口。アフリカ南部に位置するザンビアを訪れた際には刑務所に連れて行かれたこともあったそうだ。 「ザンビアはビザなしで最長3ヶ月までとネットで書かれてたので、それを鵜呑みにパスポートの滞在日数を見ずに滞在したんです。 そしてボツワナの国境に近いkazungulaのホテルに滞在してた際の真夜中に、見回りに来ていた警察に突然起こされて。私のパスポート内容を見た警察がオーバーステイだと言い、近くの警察署に連れて行かれました」 改めてパスポート内容を確認すると、許可されていた5日間の滞在を超えていたという。 「夜中の2時から警察署にいて、朝に国境関係の職員が迎えに来て昼までボツワナとザンビアの国境にいました。 15時に移動と言われて、やっとボツワナに入国出来るかと思ったら、ボツワナとは逆方向であるリビングストーンの警察事務所へ。そして『13万円の罰金をいますぐ払え!』と署長に脅されました」
難聴者ゆえに電話ができずテキストでSOS
当事者が誰であろうと過酷な状況であるはずだが、「英語の読唇術がまだ不慣れ」だというぴょん氏にとって、その厳しさは想像を超えるものだったに違いない。 「その時私はカードキャッシングも出来なくて、現金も持ってなかった。そしたら署長が力づくで『お前を刑務所に入れるぞ!』と私を引っ張ってどこかに連れて行こうとして。難聴者であることで本当に困った時に大使館に電話できないのは非常に不便ですね。 『これは本当にやばい!』と思って、必死に知り合いの日本人に携帯のテキストで懇願。結局その人が刑務所に来てくれて大使館に電話してくれたり、保釈金の13万円分を引き下ろすために何軒も銀行を回ってくれて…。 結果的に、保釈金を払わずに出られた上に延長のスタンプももらうことができました」
日本で毎日18時間働いてお金を貯めた
度々困難な目に直面しながらも2017年から現在まで旅を続けている彼女。一体どこからその資金を調達しているのか。 「いまは旅に集中しているため仕事はしてませんが、日本では海外に行くために朝から昼までお弁当屋で働いてから夜から明朝までダイニングバーで働いていたことも。毎日18時間コツコツ働いた貯金で旅を続けています」 そんな彼女の1か月の生活費は10万円以下だというから驚きだ。 「私はかなり節約してるので、ヨーロッパを周遊した時でも宿泊費、交通費、観光費、食費など全部込みで一ヶ月に10万円以下に抑えていました。 時にはその場で出会った現地人に無料で泊めてくれとお願いすることもありますね。もちろん泊めてくれたお礼にご飯を作ってあげたり、プレゼントをあげたりします」