「人事はつらいよ」新卒採用担当者、5社に1社「ワンオペ」で切り盛り 会社はもっと耳を傾けて!/マイナビ・長谷川洋介さん
企業は、学生が就活に生成AIを利用することに好意的
――ところで、採用担当者がこれほど人手不足だという現実を考えると、就活生は「生成AIをもっと積極的に活用しても大丈夫」ということにならないでしょうか。エントリーシートなどで生成AIを使っていると見抜かれるとヤバイのではないかという不安が、就活生にあると聞きます。 長谷川洋介さん 学生は就活に生成AIを利用しないほうがよいという企業は少数派で、約6割が活用に好意的です。 ただ、「そのままアウトプットを使うのはNG」や「楽(らく)をする目的ではなく、論点や観点の洗い出しをAIに補助してもらい、自身の考えを深堀してから選考に参加してくれれば、企業理解がより効果的に行える」など、あくまで補助的な利用を想定しています。 また、学生が生成AIを使うことへの「対応の必要性を感じない」という企業がほとんどです。検討している対応として多いのは「面接でエントリーシートの内容と異なる質問をする・深堀質問をする」です。志望動機などをAIのアウトプットに頼り切って作成し、面接での受け答えに違和感があれば見抜かれる可能性は高いと言えます。 ですから、採用担当のマンパワー不足が学生のAI利用に影響を与える、ということは考えにくいかもしれません。
企業は、新卒採用担当者の重大なミッションを理解すべき
――なるほど。普通に生成AIを使って問題ないということですね。孤軍奮闘している採用担当者へのエールをお願いします。 長谷川洋介さん 人手不足を補う役割を持つはずの採用担当者自身がマンパワー不足を感じる立場に置かれているのは、日本の人手不足を象徴するような状況だと思います。 今回調査では、少ない人数で採用業務を行う企業の工夫などを紹介していますので、担当者の方々の参考になればと思います。 企業が新卒採用を行う理由の上位は「組織の存続・強化」「年齢など人員構成の適正化」ですが、会社としてこうした経営上の重要なミッションを担う新卒採用担当者の役割について改めて考えていく。適切なリソース配分を行うことが、採用担当者が感じるマンパワー不足、現場の負担を軽減・解消していくための第一歩だと考えます。 (J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎) 【プロフィール】 長谷川洋介(はせがわ・ようすけ) 株式会社マイナビ社長室 キャリアリサーチ統括部キャリアリサーチラボ研究員 2017年中途入社。「マイナビ転職」の求人情報や採用支援ツールの制作に携わった後、現職の新卒採用領域を担当。就職活動中の学生を対象にした調査や、就職活動生の保護者調査などを担当、若年層の思考や世代間ギャップなどに関心を持つ。その他関心領域はエッセンシャルワーカー、SFプロトタイピングなど。