「人事はつらいよ」新卒採用担当者、5社に1社「ワンオペ」で切り盛り 会社はもっと耳を傾けて!/マイナビ・長谷川洋介さん
10年前に比べると、新卒採用担当者は3分の1に減った
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なったマイナビ・キャリアリサーチラボ研究員の長谷川洋介さんに話を聞いた。 ――「ワンオペ家事」が働く女性の間で問題になっていますが、「ワンオペ人事」という悲しい言葉、初めて聞きました。人事と言えば、ひと昔前まで社内ににらみを利かせる花形部署でしたが、現在、なぜ地位が下がっているのでしょうか。 長谷川洋介さん 人員不足であるのは、人事の地位が低いからではないと考えます。会社の人員計画に携わる人事部門の地位は、依然として多くの企業で重要な職務として位置づけられています。 ただ、新卒採用専任の担当者数を過去と比較すると減少傾向が見られます。弊社の最も古い2015年の調査では担当者数は平均2.1人ですが、最新調査では平均0.7人。つまり、約10年で3分の1に減っています。 日本全体で人手不足が進行しているなか、採用部門の人員を増やしたくても増やせない企業が多いのが現実です。 また、「社員の異動・給与等」にかかわる業務なども新卒採用部門で担当している場合がある企業が6割以上あり、多くの企業で兼任している状況にあると考えられます。 ――それは大変じゃないですか。人手不足の折り、どの企業も新卒採用をしっかりとらないといけない状況のなか、もっと企業は新卒採用担当を軽視しないで重んじてほしいものですね。 長谷川洋介さん 人員不足であっても、新卒採用担当者が軽視されているわけではないと思います。終身雇用が当たり前ではなくなった現在、雇用の流動化が進んでいます。新卒採用だけでなく、第二新卒や中途採用、アルムナイ採用(自社を退職した人の再雇用)など多様になっています。 新卒採用の担当者がそれ以外の採用業務を担うケースも多く見受けられるため、兼務者が増えているのが実態です。 ただ、担当者の悩みに「(採用部門に)役職者がおらず、他社員や他部署への協力要請時に協力を得られない」というコメントがあったように、組織編成上の理由で、部門の声が経営層や他部署に届きづらい状況におかれている企業もあるようです。